【5月9日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)のアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーは8日、場所を一つか二つに絞った上で6月中にシーズンを再開するアイデアを提案した。その候補地として、同国フロリダ州オーランド(Orlando)とネバダ州ラスベガス(Las Vegas)が筆頭に挙げられている。

 シルバー氏はNBAの全選手に向けたテレビ会議を開き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)でシーズンが中断されている中で、リーグとして新たな方針を示した。この会議には、選手協会(NBPA)ミシェル・ロバーツ(Michele Roberts)常任理事も出席した。

 米メディアによると、シルバー氏は選手たちに対して、ワクチンが開発されていなければ無観客で2021年に突入する可能性があることに加え、選手全員が毎日検査を受け、陽性になった場合は隔離されることを求めたとされている。また、リーグが他の選手全員を対象に定期的な監視と検査態勢を確保した上で、試合は続けられることになるという。

 一方、全米の多くの州でソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と外出規制が求められている中、移動の問題も生じることから、リーグは会場を1か所か2か所に絞ってシーズンを再開する方が安全であるとの認識を示し、その候補地としてオーランドとラスベガスが筆頭に挙げられた。

 米スポーツ専門チャンネルESPNが入手した会議の録音音声では、コミッショナーが「会場にファンを入れないのであれば、飛行機で都市間を移動するリスクを加えるのは意味がない。一つか二つの場所に集まって始める方が安全だと考えている」と述べたとされている。また、全30チームのオーナーがシーズン再開に向けて決意を示していることや、それまでにリーグが最低3週間のトレーニング期間を設ける方針であることが明かされたという。

 しかし、これに先立ちESPNは同日、各チームを一つの広大な場所に隔離するアイデアについては、選手たちから懐疑的な意見が出ていると報道。現地をどのように警備して隔離を保証するのか疑問が投げかけられるなど、その提案には壁が立ちはだかっていた。

 会議前にロバーツ常任理事はESPNに対して、「その案が最初に浮上したとき、一部で動揺が走った」とすると、「われわれはホテル周辺で缶詰めにされるのか? それは私には監禁に聞こえる」「それが可能だとしても、28日間隔離された後に1~2人、あるいは10人の陽性者が出たらどうする? そこを封鎖するのだろうか?」と述べていた。(c)AFP