【5月8日 AFP】中国の新型宇宙船の試作機が8日、地上に「成功裏に着陸」し、恒久的な宇宙ステーションの運用と月への有人飛行を目指す中国が、重要な一歩を記した。

 中国載人航天(CMSA)によると、5日に大型運搬ロケット「長征5号B(Long March-5B)」に搭載されて打ち上げられた宇宙船は、予定通りの地点に無事着陸した。ただ今回の着陸に先立ち、装備品を運搬するよう設計された貨物船の帰還時には、詳細不明の「異常」が生じ、重要な試験の初期段階で問題が発生していた。

 CMSAは、宇宙船の船体構造に損傷がないことがその場で確認されたとしている。

 宇宙船の試験機は、貨物船と共に新型運搬ロケットに搭載されて中国南部の海南(Hainan)島にある文昌(Wenchang)発射場から打ち上げられた。

 CMSAによると、宇宙船は2日と19時間軌道を周回し、複数の実験を完了したという。

 機体の帰還時には、大気圏への再突入の際に高温にさらされ、耐熱性といった複数の性能が実証された。

 今回の試験機は、宇宙へと送りだす乗組員の収容人数を旧型機の3人から6人に拡大。専門家らは、今回のミッションが成功裏に終わったことは、中国にとって重要な一里塚となったと評している。

 また、中国の宇宙開発を専門とする独立系のアナリストは、「中国は今や、米国やロシアと同様に有人宇宙飛行の能力を手にしたと言える」と述べた。

 中国政府は近年、有人月面着陸に成功した唯一の国である米国に追いつこうと、宇宙開発に多額の資金を投入している。(c)AFP/Ludovic EHRET / Beiyi SEOW