【5月8日 AFP】感染対策で厳格なロックダウン(都市封鎖)を敷かず、他の欧州諸国と一線を画して国際的に注目されていたスウェーデンで7日、新型コロナウイルスによる死者が3000人を超えた。

 スウェーデン公衆衛生局(Public Health Agency of Sweden)は、新型ウイルスによる死者が3040人となり、2万4623人の感染が確認されていると発表した。

 だが、当局は医療体制面ではまだ受け入れ能力に余裕があるとして、厳しい外出制限を課さない戦略を擁護している。スウェーデン政府の感染症対策を率いる疫学者のアンデシュ・テグネル(Anders Tegnell)氏は、「流行曲線からは、われわれが大体において(感染状況を)医療体制の対応可能な範囲内に抑制できていることが分かる」と述べた。

 スウェーデン政府は欧州各国でみられる厳格な封鎖措置を導入せず、国民に「責任の原則」にのっとって行動するよう促している。人々はソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の指針を守るよう強く求められているが、16歳未満の生徒・児童は学校に通い、飲食店や商店も営業を続けている。

 しかし、死者数はより厳しい封じ込め策を講じた近隣の北欧諸国を上回っており、この方針には国内外から批判の声が上がっている。

 スウェーデンの人口は約1030万人。新型ウイルスによる各国の感染者・死者数をまとめている統計サイト「ワールドメーター(Worldometer)」によれば、人口100万人あたりのスウェーデンの死者数は301人で、ノルウェーの40人、デンマークの87人、フィンランドの46人と比べてはるかに多い。

 こうした批判にもかかわらずスウェーデン当局は、長期的に見て現行方針の継続は可能だと主張。大胆な措置を短期的に導入するのは、社会に与える影響を正当化するには非効率的だとして否定している。(c)AFP