【5月8日 AFP】(図解追加)オーストリア当局は7日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の複数の患者が、回復した患者から採取した血漿(けっしょう)を投与した後治癒したと発表した。

 血漿治療法はいくつかの国で試験が実施されているが、その有効性に関する医学的データはほとんどない。

 同国南東部グラーツ(Graz)にある病院の感染症専門医ロベルト・クラウゼ(Robert Krause)氏は記者会見で、同院で血漿を投与された患者3人が回復したと明らかにした。

 しかし、「厳選された患者を対象とした選択肢の一つ」であり、新型コロナウイルス感染者全員に「容易に投与はできない」と述べた。

 回復した3人のうち2人は別の疾患があり、免疫系が非常に弱っていたという。

 この治療法は、新型コロナウイルス感染症患者から採取した、回復期血漿と呼ばれる抗体が豊富に含まれる血液の一部を用いる。オーストリアではこれまでに20人がこの治療を受けた。

 赤十字(Red Cross)は7日、実験段階にある血漿治療法の試験の拡大を目指し、血漿の提供を呼び掛ける運動を急きょ開始した。オーストリアでは、これまでに約200件の提供があった。

 回復期血漿は、エボラ出血熱や重症急性呼吸器症候群(SARS)を含む感染症の治療に効果があることが複数の小規模研究で証明されている。

 新型コロナウイルス感染症に対する血漿治療法は、フランス、米国、スイス、中国などでも認可されている。(c)AFP