【5月7日 AFP】インド東岸の港湾都市ビシャカパトナム(Visakhapatnam)にある韓国LG系の「LGポリマーズ・インディア(LG Polymers India)」の化学工場でガス漏れが発生し、少なくとも6人が死亡、1000人以上が病院に搬送された。現地の警察と医療当局者が7日、発表した。死者は今後増える恐れがある。

 一方、現地紙タイムズ・オブ・インディア(Times of India)は、8歳の少女を含む8人が死亡、5000人が体調不良を訴えていると伝えている。工場の周囲3キロ圏内では人々がパニックに陥り、多くの人が路上に倒れているという。

 警察によると、容量5000トンのタンク2基からガスが漏えいした。7日午前3時半(日本時間同7時)ごろ、地元住民から、大気中にガスが漂っていると通報があったという。

 警察はAFPの取材に、タンクは新型コロナウイルスの感染拡大防止策としてインド全土で3月末から始まったロックダウン(都市封鎖)を受け、放置状態にあったと話した。放置されたタンク内で化学反応が起きて、熱が発生したのがガス漏れの原因だとの見方を示している。

 警察によれば、近隣の病院に入院した被害者のうち少なくとも70人は意識がなく、200~500人の市民が病院で治療を受けている。また、現地の医療当局者は、病院に搬送されたのは少なくとも1000人に上り、自宅で意識不明に陥っている人が多くいる恐れがあると述べている。

 インドのテレビ局各社は、ビシャカパトナムの路上に女性や子どもを含む大勢が横たわっている映像を報じている。

 LGポリマーズの化学工場は、ビシャカパトナム近郊にある。同市とその周辺には約500万人が居住している。

 LGポリマーズを傘下に収める韓国LG化学(LG Chem)は、「ガス漏れの状況は既に制御下にある。漏えいしたガスを吸引した被害者の迅速な治療のため、あらゆる方法を探っている」と発表。被害状況やガス漏れと死者が出た原因について、調査を開始したことを明らかにした。

 映像は、インド国家災害対応部隊(NDRF)隊長が自身のツイッター(Twitter)アカウントに投稿・公開。(c)AFP