【5月7日 AFP】イラクで7日、前情報機関トップのムスタファ・カディミ(Mustafa Kadhemi)氏(53)が正式に首相に就任した。深刻な経済危機や新型コロナウイルス流行などの問題を抱え、抗議デモの再発が懸念される中でかじ取りを担うこととなった。

 新型コロナウイルス対策のソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を守りつつ、議員らはマスクと手袋を着用して6日午後9時(日本時間7日午前3時)ごろに国会に集まった。

 国会はカディミ氏の内閣名簿に記載された閣僚22人のうち15人を承認。閣僚ポストの配分をめぐり政党間で対立があるため、石油相や外相などの主要閣僚を含む7ポストは空席のままとなった。

 バルハム・サレハ(Barham Salih)大統領は先月9日、アデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)暫定首相(77)の代わりとして、イラク国家情報部(INIS)のトップを務め高評価を得るカディミ氏を指名した。首相候補の指名はこれで3回目となった。

 イラクでは昨年、汚職や高失業率、政治エリート層が隣国イランから恩恵を受けていることへの不満から数か月間デモが続き、アブドルマハディ前首相は11月に辞任を表明した。

 カディミ氏の実利的な運営手腕や、米国政府やイラン政府とのつながりを持つ前情報機関トップとしての経歴が、イラク政府が多数の危機を乗り越えるのに役立つかもしれない。(c)AFP/Maya Gebeily