【5月7日 People’s Daily】茶色のハンチングにオレンジ色の作業服。電気三輪自動車に乗る清掃作業員、高上元(Gao Shangyuan)さんの姿が中国・武漢市(Wuhan)武昌区(Wuchang)友誼大道で再び見られるようになった。高さんはこの地区の清掃を担当していたが、2か月余り前から、市内の洪山体育館に設けられた臨時病院で清掃や消毒、ごみの搬出に当たっていた。

 高さんは53歳。臨時病院では34日間働いた。ふだんから作業記録を書く習慣のあった高さんはこの間の出来事を日記に記録した。

 2月6日午前、高さんは洪山体育館の臨時病院で清掃ボランティアを募集していることを知り、すぐに申し込んだ。

「きょう午前10時、ボランティア清掃隊の隊長から電話連絡を受けた。午後5時に隊に集合とのこと。臨時病院に向かい、光栄なことに、ボランティアになれた。防疫のために力を尽くせるようになり、いささか興奮した」

 高さん、そして清掃隊は午前2時から翌日の午前7時まで作業を続け、病院の2区域の清掃を終えた。

 高さんはボランティアになることを息子に告げなかった。2月9日、臨時病院の仲間に連絡し、これがきっかけで息子も知ることになった。

「息子がきょう電話してきたが、私は出なかった。あとで電話したら、息子は電話口で泣き出した。彼は私に何か起きるかもしれないと心配したのだ」

 2月11日、高さんは日記に、息子を安心させるために毎日、無事であると連絡することを約束したと記した。「2009年に妻が交通事故で亡くなったあと、10歳だった息子を私はひとりで育てた。私たちの関係はとてもいい」と高さん。

 2月20日、阿里巴巴(Alibaba、アリババ)の評価選考活動で高さんは「防疫英雄賞」を獲得、賞金1万元(約15万2000円)をもらった。知らせを聞いたあと、高さんは日記に「私は当然のことをしただけだ」と書いた。高さんは「こうした賞は私ひとりのものではない。すべての清掃隊隊員の努力の結果だ」とも語った。

 3月14日、高さんは湖北省(Hubei)支援に駆け付けた遼寧省(Liaoning)医療隊の隊員、王海旭(Wang Haixu)医師からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の微信(WeChat)を通じてメッセージを受け取った。高さんはこのとき、臨時病院の作業を終えたあと、隔離用のホテルに滞在していた。メッセージには「医療従事者であれ、清掃作業員であれ、防疫の最前線にいる以上、みな戦友だ」と書かれていた。

 高さんはこの日の日記にこう書いた。「臨時病院の医療従事者とともに闘ったのは、とても有意義だった。武漢を支援した医療従事者に感謝する。彼らこそ真の英雄だ」 (c)People's Daily/AFPBB News