【5月8日 CNS】中国・広東省(Guangdong)にある虎門大橋(Humen)で5日に発生した「異常な揺れ」が注目されている。著名な橋梁(きょうりょう)専門家である呉明遠(Wu Mingyuan)氏は6日、揺れは基本的に収まったことを明らかにした上で、現在の観測結果によると、今回発生し、揺れの原因となったとされる「渦励振(うずれいしん)」は全体構造に影響を与えるものではないとしている。

「渦励振」は、風が物体に当たり、物体の背後に周期的な渦が生成され、物体構造に対し周期的な圧力が加わり共振する現象をいう。

 異常な揺れでは、つり橋部分の橋面部分の振り幅が大きく、車両の走行に支障を来すほどだった。「広東省交通集団」は6日早朝、専門家の初期的な判断を発表。つり橋部分の揺れの原因は、橋の欄干沿いに連続して置かれた交通規制用の樹脂製ブロックが橋梁の空力形状を変えさせ、特定の風が吹く環境条件の下で、橋梁に発生した「渦励振」とした。

 虎門大橋の張鑫敏(Zhang Xinmin)副総工程師によると「橋面に置かれたブロックが壁となり、風の流れが阻まれ、橋に影響を与えた。橋面にブロックを置いたことは、橋の外形を変えたことに等しい」という。

 虎門大橋管理センターの監視カメラの映像によると、5日午後3時50分に欄干沿いのブロックを撤去し始め、午後5時42分に撤去を完了したが、揺れはその後も続いた。これについて張氏は「風の力と慣性の影響を受け、一つの構造体が振動を始めるとすぐには止まらないが、時間がたてば止まる。橋梁構造の安全に影響はない」と説明している。

 現在、虎門大橋の全面的な検査を行っており、いつ通行可能となるかは決まっていない。

 珠江(Pearl River)両岸にある広東省の広州市(Guangzhou)南沙区(Nansha)と東莞市(Dongguan)虎門鎮(Humen)を結ぶ虎門大橋は、深セン市(Shenzhen)、珠海市(Zhuhai)などの重要な都市へと通じている。1992年に建設を開始し、1997年に完成、開通している。(c)CNS/JCM/AFPBB News