【5月7日 Xinhua News】中国河北省(Hebei)邢台市(Xingtai)広宗県(Guangzong)の文化財保護部門は、同県広宗鎮大王村でこのほど、宋代の磚室墓(せんしつぼ)5基を発見したと明らかにした。磚室墓は墓室をれんがで築いた墓を指す。

 考古学専門家は19日間の緊急調査で、円形の磚室墓4基と船型の磚室墓1基の発掘を実施。銅製のかんざし1点、白釉磁の盞(さん、さかずき)3点、磁器碗3点の計7点の遺物が出土した。

 うち1基の円形磚室墓は、磚室と甬道(ようどう)、墓道の3部分からなり、墓室の壁面には建築をかたどった四つの主要な磚彫(レンガ彫刻)が施されていた。東側の建築の内部には机と椅子2脚、北正面の建築の下部には門から顔を出す夫人、南西角には亀に似た神獣「贔屓(ひき)」が彫刻されている。木造建築を模して磚で構築された墓室の壁面は精巧で美しく、柱や枋(ほう、方形の木材)、屋根を支える斗栱(ときょう)や飛檐垂木(ひえんだるき)、屋根に置かれた伝説上の動物「鴟吻(しふん)」が細かく再現されていた。唐代後期の風格を備えているという。その他の磚室墓は同募の西側に1基、北側に3基配置されていた。

 同市文化財部門の職員は広宗県で今回初めて宋代墓が出土したことについて、同県の宋代墓葬文化の歴史的空白が埋まったと指摘。木造に似せた構造の磚室墓は、同県一帯の宋代の建築様式を十分に反映しており、同地域の建築形式と彫刻技術を研究する上での根拠になるほか、社会と文化、葬送風俗を模索するための詳細かつ確かな資料にもなるとの見方を示した。

 同部門では5基の墓葬が持つ文化的要素をさらに明らかにするため、主要な墓葬を邢台市と広宗県の博物館に移し、展示と保護を行うとしている。(c)Xinhua News/AFPBB News