【5月13日 AFP】砂浜でのソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)、混雑を制限できるように改装されたレストラン、ホテルの入り口での検温──スペインは、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)後の時代に向け、観光客を呼び戻すための創造的な方法を模索している。

 スペインは世界第2位の観光大国だが、新型コロナウイルスの流行によって大きな打撃を受け、4月末までの死者数は2万4000人を超えている。

 しかし、スペイン政府は流行のピークは過ぎたとして、バー、ホテル、レストランを徐々に再開させ、ロックダウン(都市封鎖)から段階的に移行する計画を打ち出し、11日には一部緩和を実施した。

 そのリスクは高い。だがロックダウンの結果、国内総生産(GDP)の12%、雇用の13%を占めているスペイン観光産業の年間収益は最大で60%失われる可能性があると、観光協会エクセルトゥール(Exceltur)は警告している。

 観光業界の専門家らは、政府のロックダウン緩和計画の曖昧さに業を煮やし、観光客を呼び戻すことを目的とした一連の提案を行った。

 スペイン東部沿岸の町ガンディア(Gandia)では、ビーチの監視員を増やそうとしている。日光浴を楽しむ人々が互いに確実に2メートル以上離れるよう呼び掛けるためだ。さらに子どもたちがビーチに行くことができる時間を分け、高齢者やより重症化リスクの高い人との接触を減らすことも検討している。

 バーやレストランも将来を見据えているが、スペイン最大の宿泊業協会は今のところ、アクリル製の仕切りの設置は勧めていない。あまりにも費用がかかるためだ。

 ガンディアの宿泊業協会会長のホセ・マヌエル・ナバロ(Jose Manuel Navarro)氏は、「定員は半分に減らさなければならないだろう。テーブル数が15~20卓だったレストランでは、テーブルの間隔を1~1.5メートル空けて、8~10卓に制限される」と述べた。