■パエリアもシェアではなく個別に

 金銭面での影響を抑えるため、自治体当局は歩道に面したテラスを拡張することで、バーがテーブルをより多く設置できるようにしようとしている。さらにメニューをオンライン化すれば、複数の人に手渡しされることも減る。

 また、スペインでは、パエリアやタパスを一つの皿から取り分けて食べることが多い。しかし「一人分ずつでの提供が増えるだろう」と、ガンディアの観光顧問ビセンテ・マスカレル(Vicent Mascarell)氏は言う。

 ホテルの衛生対策も強化される見込みだ。特に被害の大きかった首都マドリードでは、新型コロナウイルスが存在しない環境であることを示す「COVIDフリーホテル」の表示に取り組んでいる。

 ホテルチェーンのルームメートホテルズ(RoomMate Hotels)では、入り口に漂白剤を染み込ませたカーペットを置いて到着した客の靴の裏やスーツケースの車輪を消毒する計画だ。さらに検温後、マスク、手袋、除菌ジェルを手渡すことにしている。

 また、マドリード中心部のスペイン広場(Plaza de Espana)にあるVPオテル(VP Hotel)では、宿泊客は入館前に新型コロナウイルス感染症の検査を受けることになる。

 同ホテルグループの幹部ハビエル・ペレス(Javier Perez)氏はAFPに、「陽性反応が出た場合には、保健当局に知らせる前に密室に移動してもらう」と説明した。陰性の場合は、民間のクリニックで実施される検査費用に相当する50ユーロ(約5800円)の追加料金を支払えば、市内を一望できる屋上のバーやレストランに上がることもできる。

 こうした取り組みは60代、70代が多いこのホテルの利用客を安心させるためのものだという。

 しかし、大きな問題は、いつになったら外国人観光客に国境が開放されるのかということだ。スペイン政府関係者はAFPに対し、今のところ欧州レベルでは何も決まっていないと述べている。(c)AFP/Emmanuelle MICHEL