【5月6日 AFP】エクアドルのアマゾン(Amazon)熱帯雨林地帯に暮らす先住民コミュニティーは、大量の石油流出により地元の川が汚染されて飲み水が奪われたとして、国と複数の石油会社を相手取って訴訟を起こした。

 先住民コニュニティーの指導者や非政府組織(NGO)によると、対ペルー国境近くのオレリャナ(Orellana)県で先月7日に土砂崩れが発生し、石油パイプライン3本が破損。アマゾン支流のナポ(Napo)川など、近隣を流れる複数の川に石油1万5000バレルが流れ込んだという。

 キチュワ(Kichwa)族の一員で先住民コミュニティーの指導者でもあるマルシア・アンディ(Marcia Andi)氏は、AFPに対し「河岸に暮らす家族たちは食料不足に直面しており、飲み水がある場所や水浴びができる場所も見つけられない」と語った。

 NGO「アマゾン・フロントラインズ(Amazon Frontlines)」の弁護士であるマリア・エスピノサ(Maria Espinosa)氏によると、コカ(Coca)川とナポ川沿いに暮らす約2万7000人のキチュワ族とシュアール(Shuar)族が流出の影響を受けているという。

 先住民たちは「影響を受けた人々への水と食料の支給、そして医療の提供を保証する迅速な措置」を求めており、これまでの支援では必要な量に十分達していないという。

 一方、訴訟で名指しされた国営石油会社ペトロエクアドル(PetroEcuador)は、流出の影響を受けた59の先住民コミュニティーに容器入りの水50万リットルを配布したと説明。また、破損したパイプラインのうち1本はその後修復され、キホス(Quijos)川などで汚染除去作業を開始したと主張している。

 さらに、別の石油会社「OCPエクアドル(OCP Ecuador)」も破損したパイプライン1本の所有者として名指しされている。

 先住民コニュニティーは、流出について石油会社側が一切警告していなかったと非難しており、流出の影響に関する証拠を集めてきたアマゾン・フロントラインズによると、同地域で発生した流出としては2004年以降で最悪規模と推定されている。

 エクアドルは新型コロナウイルスの世界的大流行の影響を最も受けた国の一つで、アマゾンの先住民コミュニティーは感染を防ぐため、外部とのつながりを絶っている。

 アマゾンの村の住民は「川で捕まえた魚を普段食べているが、今はこの石油流出のあおりを受けている」と話している。(c)AFP