【5月6日 AFP】サッカーのクラブチームで少年選手に性的暴行と虐待を繰り返し、有罪判決を受けた元コーチのバリー・ベネル(Barry Bennell)受刑者をめぐって、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)のアカデミー時代に被害に遭ったという男性8人が、クラブに損害賠償を求める裁判を高等法院で起こした。

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 ベネル受刑者はシティでスカウトや、契約可能な年齢に達していない少年の「育成チーム」でコーチを務めていたとされる時期に犯罪を繰り返していた。現在は40代後半から50代前半の被害者8人は、虐待によって「心に深い傷を負った」責任がクラブにもあると主張し、損害賠償を求めている。

 ベネル受刑者は、1979年から1991年にかけて指導していた少年12人に暴行を加え、複数の罪で禁錮30年の刑に服している。今回はその一部が高等法院で訴えを起こした。

 シティと受刑者の関係については、クラブから正式に給料を受け取っていたわけではないと考えられているが、1976年から1984年にかけて3年ずつ2回、アカデミーに関わっていた。その後はフットボールリーグ2(4部)のクルー・アレクサンドラFC(Crewe Alexandra FC)で7年間、下部組織のコーチを務めた。

 原告団は、ベネル受刑者がシティの「帳簿」に載っていたわけではないが、クラブにも暴行に対する代位責任があると主張している。「サッカー選手としてのキャリアを断たれた」ことの損害賠償を求めているのは一人だけで、二人はクルー・アレクサンドラに対しても賠償を求めている。

 両クラブは代位責任を否定し、裁判に持ち込むにはあまりにも時間がたちすぎていると主張。また、原告団の言う経済的損失などの度合いにも反論している。

 提訴を受けて、高等法院は2021年10月から裁判を開始し、8週間かけて8人の訴えに耳を傾けることを暫定的に決めた。(c)AFP