【5月10日 AFP】新型コロナウイルスの感染拡大阻止を目的にロックダウン(都市封鎖)措置が取られている仏パリの屋上を、機敏に動き回る男性。フリーランナーのシモン・ノゲイラ(Simon Nogueira)さんは、人けが消え、これまで以上に「光の都」となったパリのまばゆいばかりの景観を楽しんでいる。

 屋上からは、エッフェル塔(Eiffel Tower)や超高層ビルのモンパルナスタワー(Montparnasse tower)が一望できる。右手の丘の上には、サクレクール寺院(Sacre-Coeur basilique)がパリの街を見下ろすように立っている。

「これが屋上の大好きなところだよ。遠くまで見渡すことができる」とノゲイラさん。「普段は光害で視界がかなり曖昧になる。今は良く見える気がする」

 ノゲイラさんは昼夜、愛するパリの上空を駆け抜ける。窓枠を伝って壁を登り、屋根から屋根へと渡る。

 フリーランニングは、高所で疾走したり回転したりする都市型スポーツ。重力を味方につけながら障害物や隙間を跳び越え、アクロバチックな動きをする。

 外出制限が敷かれた当初、パリはかつてない静寂に包まれたとノゲイラさんは語る。今は気候が良くなり、検疫の規制が緩和してきたことで、街には活気が戻ってきているという。

 ノゲイラさんは、自宅から1キロ圏内で1時間以内という外出制限が解除される日を心待ちにしている。新しい発見を求めて、街の屋上をより長く動き回りたいのだ。

「僕がしたいのは、遠くに行くこと、脱出すること。外出制限下では、なおさらそう思う」とノゲイラさんは語る。「また人々と交わるのが待ちきれない。生きて、そして遠くへ行きたい」 (c)AFP/Sabine COLPART