【5月7日 AFP】(写真追加)スーツやシャツ、ネクタイはハンガーに掛かったままで、スカートやブラウス、ハイヒールもクローゼットにしまいっぱなし──。新型コロナウイルスの感染拡大阻止を目的にロックダウン(都市封鎖)が実施され、在宅勤務となった人々のドレスコードが、随分とカジュアルになっている。

 服飾ブランドおよびマーケティング調査によると、世界的なウイルス流行の拡大抑制策としてオフィスが閉鎖されて人々が自宅で勤務するようになって以来、世間ではおしゃれよりも快適さが優先されるようになったという。

 いつもはピンストライプやオーダーメードのスリーピーススーツ姿の中央銀行の行員でさえ、この期間は随分とリラックスしている。

 英国の中央銀行であるイングランド銀行(Bank of England)金融政策委員会に所属するサム・ウッド(Sam Wood)氏は、AFPの取材に対し、ネクタイを着用したのは英紙タイムズ(Times)の写真撮影と、オンラインでの議会公聴会の時だけだったと語り、その時も下にはいていたのはジーンズだったと話した。

■靴下とスリッパ

 ある経済調査によると、衣料消費は在宅勤務者の新たなニーズとともに素早く変化しており、「流行のスタイルが廃れ、部屋着がはやるようになった」という。

 英オンライン通販のブーフー(Boohoo)は、先週公開した第1四半期の決算報告書で、ビデオ会議でアピールできるしゃれたトップスとランニングパンツが人気だったことを明らかにしている。

 ファッショントレンドの調査会社リスト(Lyst)も、「スエットシャツ、スエットパンツ、ショートパンツ」の需要が急増していることを認めている。米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)が人気ブランドの一つだ。

 またドイツのオンライン通販ザランド(Zalando)によると、靴部門のベストセラーはスリッパで、さらにアディダス(Adidas)のプール用サンダルやはき心地の良い靴下も売り上げを伸ばしているという。

 だが都市部に店舗を構えるチェーン店では、コロナ危機とロックダウンのために売り上げが大きく落ち込んでいる。

 都市中心部がゴーストタウンのようになり、社会の雰囲気が落ち込んでいる中、インテリア・家具への注目は高まっている。しかし、こうした動きも苦境に立たされた小売業者にとっては、ほんの小さな慰めでしかない。