【5月6日 AFP】米首都圏は1か月以上にわたる外出制限にもかかわらず、新型コロナウイルスのホットスポット(一大感染地)となっており、アフリカ系とヒスパニック系の人々が特に深刻な被害を受けている。

 ワシントンと隣接するメリーランド州、バージニア州では、これまでに5万人超の感染が確認され、約2300人が死亡した。

 メリーランド州のラリー・ホーガン(Larry Hogan)知事は4月初頭、同州が2週間遅れで米国の流行中心地であるニューヨーク州の後を追っており、次の大流行地になると予見していた。

 米首都圏は3月末から学校を閉鎖し、不要不急な事業を休業させ、ロックダウン(都市封鎖)を実施しているにもかかわらず、感染者と入院患者、死者が増え続けてきた。

 メリーランド州モンゴメリー(Montgomery)郡公衆衛生局のトラビス・ゲールズ(Travis Gayles)局長はAFPに対し、「わが州は非常に人口が多く、人口密度も高い地域だ」「出勤しなければならない不可欠な労働者が今でも非常に多く、職場で(ウイルスに)さらされている」と述べた。

 ワシントンの北に位置するモンゴメリー郡の人口は約100万人。同郡では5日時点で、5541人の感染と292人の死亡が確認された。またメリーランド州全体では、約2万6400人の感染と1300人超の死亡が報告されている。

 首都圏の不可欠な労働者の多くはアフリカ系とヒスパニック系で、こうした人々の感染率と致死率は白人と比較してかなり高い。

 ゲールズ氏は、「寝室が2部屋あるアパートを2家族でシェアすることも珍しくない」「1人が陽性となれば、すぐに拡散する。隔離はなおさら困難だ」と説明した。

 アフリカ系やヒスパニック系の感染率、致死率が高いその他の要因としては、高血圧や糖尿病などの基礎疾患、健康保険未加入などが挙げられる。

 人口約70万人の首都ワシントンでは、これまでに5300人超が新型コロナウイルスに感染し、264人が死亡した。

 アフリカ系は、首都の人口の半数弱、新型ウイルスによる死者の80%を占めている。

 ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)疫学部のアマンダ・カステル(Amanda Castel)教授は、感染者数増加には検査能力の拡充がある程度関係していると指摘。

 カステル氏は、「ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)疲れ」の危険性に警鐘を鳴らした。(c)AFP/Cyril JULIEN