【5月6日 AFP】新型コロナウイルスの影響で延期になっていた韓国プロ野球(KBO)リーグが5日に開幕した。サッカーとゴルフのシーズンも間もなく追随することが決まっており、韓国にプロスポーツが戻ってこようとしている。

 5日の開幕5カードは、無観客で第1球が投じられた。ここ数年、満員のファンが点差に関係なく応援歌や歓声を響かせていたスタンドに人の姿はなく、SKワイバーンズ(Sk Wyverns)の本拠地である文鶴野球場(Munhak Baseball Stadium)では、マスクをしたファンの写真をプリントした横断幕が客席に広がった。

 同じ蚕室総合運動場野球場(Jamsil Baseball Stadium)を本拠地とする斗山ベアーズ(Doosan Bears)とLGツインズ(LG Twins)の試合では、「離れていてもわれわれは双子」と書いた横断幕もあった。

 異例の開催形式に、ファンも複雑な思いを抱いている。ツイッター(Twitter)に「やっと野球が戻ってきた! だけどスタジアムに足を運べるのはいつになるやら」と書き込むファンもいれば、「開幕感が全然ない。家で枕を抱きながら見ている」と話すインターネットユーザーもいた。

 スタジアムでは、厳しい健康チェックと衛生管理が義務付けられる。リーグによれば、選手は試合前に2回検温を受け、グラウンドとベンチ以外ではマスクを着ける必要がある。握手やハイタッチは自粛、唾吐きは禁止となったため、韓国有数の人気スポーツの在り方は以前と様変わりした。

 それでも米スポーツ専門チャンネルESPNは、週6試合を生の野球に飢えている自国のファンに届けると発表し、国外の10の放送局が放映権を取得している。ファンも昔の試合の再放送を見てしのぐことくらいしかできない、荒廃したスポーツの世界で、選手の実際のプレーは歓迎されるとみられる。

 8日にはサッカーのKリーグが開幕を迎え、次週にはトッププロが集う女子ゴルフの国内ツアーも開催される予定になっており、韓国は世界でも数少ない生のスポーツが盛んな場所になっている。

 韓国は当初、中国以外では新型ウイルスの感染が最も広がった国で、プロスポーツは軒並み中止か延期となったが、その後は「追跡、検査、治療」の徹底が功を奏して感染拡大を抑え込んでいるようにみえる。

 5日に新たに感染が確認された人は3人と、このところはごくわずかしか新規感染者を出していない。合計の感染者数は1万804人となっている。(c)AFP