【5月7日 Xinhua News】中国・四川省(Sichuan)眉山市(Meishan)の江口沈銀遺跡で実施された今年度の発掘調査では、大量の金・銀器が出土した。ただ、300年余りも水中に埋まっていたことから、その多くが川底の土や石につぶされ激しく変形していた。考古学者らはこれらの「金銀財宝」をどのように復元したのか。

 今年度の発掘では、遺物1万点余りが出土した。このうち金・銀製の貨幣や地金、食器、首飾り、装飾品などの約2千点が重要出土品とされている。

 四川省文物考古研究院文物保護センターの魯海子氏によると、出土品の保護と修復は現代科学技術と従来の技法を組み合わせた方法を用いたという。

 つぶれた状態で出土した銀製の碗(わん)は、まず蛍光X線分析装置で内部の折り目や割れ目、碗の中央部に彫られた文字を検出。検出された「尹思」の2文字をさらに超深焦点深度の顕微鏡で精密に測量し、彫金技術に対する基礎的判断の根拠とした。

 帽子の頂部に付ける金製の飾り「金帽頂」に対して実施した走査型電子顕微鏡による微細形状の計測と元素分析では、金具の溶接材料に含まれる元素を特定することに成功。当時と同様の成分の溶接材料を新たに配合するのに有益な情報をもたらした。

 最後に行うのが手作業による復元。文化財保護・修復の専門家が昔から受け継ぐ技法で器物の制作工程を復元する。出土品は最新技術を用いながらも「当時と変わらぬ技術と材料」で修復されていく。(c)Xinhua News/AFPBB News