【5月5日 AFP】シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は4日、新型コロナウイルス対策で実施してきたロックダウン(都市封鎖)の緩和措置を誤った場合、同国は「大惨事」に陥ると警鐘を鳴らした。

 シリア政府は、数週間にわたって実施されていたロックダウンを先週から徐々に緩和している。9年におよぶ内戦と欧米諸国からの制裁で疲弊しているシリアの経済活動は、新型ウイルス対策のロックダウンによってさらに妨げられていた。

 シリア政府の公式統計によるこれまでの新型ウイルス感染者数は44人で、うち3人が死亡している。また、同国北東部のクルド人自治区の当局も、3人の感染が確認されたと発表している。

 シリア大統領府がソーシャルメディア上で公開した映像の中でアサド大統領は、同国内の感染者数は比較的少ないとはいえ「危険領域外」にあるわけではないと指摘。政府の新型ウイルス危機対応機関に対し、「数が少なくても、数日もしくは数週間たらずで急激に増える可能性がないとは言い切れない」と釘をさし、「そうした流行が発生すれば、国の衛生管理能力や物流能力を圧倒する真の惨事に直面することになる」と警告した。

 4日の政府発表によれば、ロックダウン緩和後も引き続き夜間外出禁止令は実施され、住民の他県への移動も認められない。市場は日中のみ再開され、8日からは金曜礼拝も再開される。

 シリアは深刻な経済危機にひんしており、シリア・ポンドは対ドル相場で過去最安値を記録。また、急激なインフレで国民の多くが貧困に陥っている。(c)AFP