【5月5日 AFP】ドーピング違反で名誉が失墜している中国競泳男子の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)が、8年の資格停止処分を不服としてスイス連邦最高裁判所に上訴したと報じられ、AFPによる裁判関係者への取材でも確認された。

 米月刊誌スイミングワールド(Swimming World)は4日、孫の弁護人が上訴期限をあと1日残した先月29日に手続きに踏み切ったと伝えた。スイス最高裁は報道内容を認めていないが、記事によると「『孫楊ケース』として事件番号が付けられ、訴訟が開始された」という。

 2014年にもドーピング違反で3か月の処分を受けた孫は、ドーピング検査で検体の提出を拒否した規律違反で、2月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)から8年の出場停止処分を受けた。これで、同選手の疑惑を国際水泳連盟(FINA)が不問に付したことに対する、世界反ドーピング機関(WADA)の異議が認められた形になった。

 CASの裁定はすべてスイス最高裁への上訴が可能となっている。上訴が退けられた場合、孫は2021年の東京五輪に出場できなくなり、事実上のキャリア終了を意味することになる。

 通算3個の五輪金メダルに輝く孫は、CASが裁定を下す前にスイス最高裁への上訴が2度退けられている。上訴期間中も競技への出場が禁じられているが、同選手は東京五輪に向けた代表合宿に招集されていた疑いが浮上し、これは明らかに規則違反であるとして先月にWADAが中国水泳協会(CSA)へ説明を求めていた。

 CSAはこれに対し、孫の名前が入っていた代表合宿の通知書が「無効」だったと釈明した。(c)AFP