【5月5日 AFP】新型コロナウイルスのワクチンや治療法、検査方法の研究に必要な資金を募る国際ビデオ会議が4日に開かれ、各国の首脳や著名人、慈善団体などが計74億ユーロ(約8600億円)の拠出を表明した。会議は欧州連合(EU)の主導で開催され、米国は参加を見送った。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による世界の死者は25万人に迫り、うち欧州の死者は14万人となっている。

 会議を主催したEUのウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)欧州委員長は、流行終息につながる可能性が最も高いのはワクチンだと指摘。参加した約40か国のうち、欧州の主要国と日本、カナダが最大級の支援を表明した。

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、会議が「世界の連帯」を示したと称賛。しかし米国の不参加は会議にとって痛手となり、ワクチンの開発・生産で協調のない競争が起きる可能性が高まっている。

 国家のほか、国連(UN)やビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)などの慈善団体、研究機関も参加。さらに人気歌手マドンナ(Madonna)さんも100万ドル(約1億円)の支援を表明し、EUから称賛を受けた。

 米政府高官は今回の会議を歓迎したものの、米国が参加しなかった理由を問われると、同会議は「多数ある中の一つ」にすぎず、米政府は「そうした国際努力の最前線に立っている」と主張した。

 だが、トランプ氏の「米国第一主義」によりワクチン開発が欧米間での非生産的な競争につながることを懸念する各国の首脳は、国際協力を呼び掛けた。英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は、「このウイルスを打ち負かすワクチン発見に向けたレースは国家間の競争ではなく、われわれの生涯で最も喫緊な共通の試みだ」と表明。安倍晋三(Shinzo Abe)首相も、国際社会の団結を呼び掛けた。(c)AFP