【5月5日 Xinhua News】中国の東北地域では春の耕作シーズンを迎えたが、吉林省 (Jilin) 楡樹市(Yushu)の大規模穀物農家や合作社(協同組合)の多くに焦りの色はない。同市の田豊機械種植専業合作社(機械作付け専門の協同組合)は、種子や化学肥料の準備を既に終えている。

 同合作社はここ数年、農家と土地管理受託協定を締結している。協定は合作社に種子や化学肥料の購入と人件費の支払いを委託する以外、農家は何もする必要はないことになっている。農民は食糧収穫後、自らが委託した土地の面積に基づき帳票を受け取り、好きな時に合作社で穀物代金をもらうことができる。

 統一的な耕作や施肥、病害虫防除、収穫を行うという中国の農村で今はやりの土地管理受託サービスは、多くの合作社にとって耕作に専念できる優れた経営モデルをもたらした。規模化経営の耕地は収穫が増え、効率も向上した。食糧豊作と農民所得はより保証された。

 2020年の「中央1号文書」は、統一的な病害虫対策、耕作と作付けの代行、土地依託管理モデルの普及、食糧生産の効率と質の向上を掲げた。田豊などの合作社は現在、農家が合作社へ土地を出資するという経営モデルを模索しており、農家とより緊密な利益連結メカニズムの構築を目指している。

 田豊機械種植専業合作社の陳卓責任者は「専門家が専門的な仕事をする。土地依託管理により合作社は収穫向上に専念できる。最先端の作付け機械も購入できるし、毎年のように土地の借入資金で悩んだり、食糧が高く売れるか心配したりしなくて済む」と述べた。

 中国有数の食糧生産省の山東(Shandong)、河南(Henan)、吉林各省などではここ数年、食糧収益を増やすため、多くの合作社が土地委託管理により農民と収益やリスクを共有している。

 土地委託管理モデルは、農民に費用を支払う必要がないので合作社の資金圧力を低減できる。企業から種子や化学肥料、農薬を買い入れる際の価格交渉力も高まり、合作社が農地耕作に集中できる「低資産型」の耕作モデルとなっている。

 土地委託管理モデルは、一部の地方の伝統的な穀物貯蔵や買い付けシステムにも変化をもたらした。一部の地域の農家は、家で食糧を貯蔵する伝統に別れを告げ、合作社も食糧倉庫を建てる必要がなくなった。合作社は耕作前に収穫した穀物の買い取り先を見つけ、収穫後は直ちに買い付けや貯蔵、加工企業に供給するようになった。同時に企業の食糧調達難も解決した。(c)Xinhua News/AFPBB News