【5月4日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が主要行事に姿を見せず、重病説が、さらには死亡説までもが浮上してから3週間近くを経て、同国の国営メディアは2日、金氏の写真を公開した。

 金氏は4月15日、北朝鮮の建国者で祖父の故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席の生誕日を祝う記念式典を欠席。こうして金氏の健康状態や、誰が核保有国である北朝鮮のかじ取りを担うのかをめぐって臆測が飛び交った。

 金氏が公の場から姿を消すのは今回が初めてではない。2014年には6週間近く姿を見せず、再び現れた際にはつえをついていた。その数日後、韓国の情報機関は、金氏が足首の嚢胞(のうほう)摘出手術を受けていたと発表した。

 金氏の健康状態が、なぜこれほど多くの臆測を呼ぶのかについて概説する。

■後継者は誰か?

 金氏は10年近く権力の座にあるが、死亡した場合、北朝鮮政府は同国史上初めて未確定なままでの継承という局面に直面することになる。

 故金日成国家主席の血筋である「白頭(Paektu)血統」が支配する北朝鮮では、支配者の地位は常に家族の問題となる。

 世間に知られている金氏の3人の子どもたちはまだ非常に幼く、世界が認識する限りにおいて後継者は指名されていない。

 金氏の妹で最も親しい助言者でもある金与正(キム・ヨジョン、Kim Yo-Jong)氏は、後継者の最有力候補と広く見なされているが、著しい家父長制社会である北朝鮮では、年長者であることや性別がいずれも重要視される。