【5月5日 東方新報】中国・四川省(Sichuan)の成都パンダ繁殖研究基地(Chengdu Research Base of Giant Panda Breeding)で誕生した今年世界初となる双子パンダの名前が、湖北省(Hubei)と四川省の名物おやつ「熱乾麺」と「蛋烘糕」に決まったことが話題を集めている。パンダの名前は長年、「蘭蘭(ランラン、Lan Lan)」「童童(トントン、Tong Tong)」といった同じ漢字2文字を重ねるタイプが多かったが、かわいらしいイメージの漢字がほとんど使われてしまった事情もあり、近年は多様化している。

 2007年8月にフランスで生まれたパンダは「円夢(Yuan Meng)」と名付けられた。「夢がかなう」との願いが込められていたという。2019年にドイツで生まれた2頭は「夢圓(Mengyuan)」「夢想(Mengxiang)」で、意味は「円夢」とほぼ同じ。「夢」が多く使われているのは、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が近年、演説などで「中国の夢の実現」という言葉を愛用していることと関係しているとみられる。

 2014年以来、パンダファンのネット投票によってパンダの望ましい命名規則が公開されている。それによると、「唯一無二でほかの名前とかぶらないこと」「中国の伝統文化の特色を表し、国際的でもあること」「語感がよく、大げさすぎないこと」とされ、これ以外に「パンダの概観や生まれた時の歴史的な出来事などと絡めた」ものでもよいとしている。 

「熱乾麺」は小麦麺にごましょうゆやネギ、ザーサイを絡めた湖北省武漢市(Wuhan)の屋台スナックの定番の一つ。「蛋烘糕」は小麦と卵でつくったパンケーキの一種で、四川省の屋台のおやつだ。パンダの名前にしては珍妙な気もするが、子どもたちが大好きという点では共通している。   

 パンダの名付け親になることは、世界のパンダファンにとってあこがれの栄誉だ。双子パンダの場合は、湖北の医療現場で新型コロナウイルスと闘ってきた湖北支援医療チームにその権利が与えられた。メンバーたちは、四川省と武漢市の地域を象徴するようなB級グルメのスナックの名前を付けることで、新型ウイルスの流行で苦しんだ武漢市と、武漢市を応援してきた成都市(Chengdu)の絆、新型ウイルスとの闘いの精神を表現することにしたという。 

 繁殖基地の職員は「一刻も早く新型ウイルスの感染拡大が収束して、世界のパンダファンが熱乾麺と蛋烘糕に会えますように」と語っている。(c)東方新報/AFPBB News