【5月6日 東方新報】現在、中国国内の新型コロナウイルス感染症は基本的に抑え込まれ、社会は徐々に正常化しつつある。国際社会には中国の防疫対応に批判の声もあるが、「なぜ中国は、比較的早く感染症を抑え込めたか」を冷静に考えることの方が現実的な意義が大きい。専門家の多くはこの理由として「社会動員力と組織力」を挙げている。

 湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)で最初に新型コロナウイルスが発見され、1月23日には都市封鎖が実施された。1100万人の人口を持つ大都市が、果断にも外部との通路を封鎖したのだ。科学雑誌「サイエンス(Science)」に3月6日発表された研究論文では、この都市封鎖が感染症の流行を3~5日遅らせ、2月中旬での世界の感染伝播(でんぱ)を80%近く減少させたとしている。

 わずか十数日で武漢市に2か所の高機能の専門病院が建設され、いくつもの臨時病院が建てられた。また、全国の10%に当たる重症医療資源が速やかに集められ、4万人を超す医療従事者が危険をものともせず、武漢市支援に結集した。

 同時に全国各地でも厳格な防疫措置が施され、感染病例の速やかな発見、濃厚接触者の追跡、ソーシャルディスタンス(対人距離)の保持、自宅隔離の実施など、感染症のまん延を一致協力して抑え込んだ。宅配業者、居住区の管理者、ボランティア、工場従業員といった無数の人たちが黙々と社会に貢献した。

 武漢市の重症患者がゼロとなった4月24日、湖北省と武漢市の防衛戦の勝利が決まった。武漢市の2500人余りの80歳以上の高齢患者のうち、救命治癒率が約70%で、最高齢の患者は108歳であったことは特筆に値する。老若を問わず、貧富を問わず、命が最も大事だという原則が隅々まで十分に体現された。

「中国が短期間に感染症の制御ができたという大きな勝利は、政府の強大な組織動員力と民衆の困難に立ち向かう品格のたまものだ。どの国でも突然の伝染病発生の際は、医療従事者やベッド数の不足、医療用物資の欠乏などの問題に直面する。強大な社会動員力と組織力で、中国はこれらの難題を克服し、感染拡大を有効に抑え込んだ」と、専門家の多くが指摘している。

 中国は自国の防疫対策の間にも、諸外国にも支援の手を差し伸べてきている。4月19日の時点で、すでに127か国と四つの国際組織に防疫対策物資を提供し、15か国に17の医療専門家チームを派遣している。世界保健機関(WHO)に5000万ドル(約53億5000万円)の寄付を行い、防疫対策と診療プランを国際社会と共有し、100を超す国と地域で40回以上の技術交流テレビ会議を実施、ワクチンと治療薬の研究・開発を国際協力のもと推進している。(c)東方新報/AFPBB News