【5月3日 AFP】英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相(55)は、自身が新型コロナウイルスに感染し集中治療室(ICU)に入った際、治療に当たっていた医師らがジョンソン氏の死亡を発表する覚悟をしていたと明かした。

 英大衆日曜紙サン・オン・サンデー(Sun on Sunday)が3日掲載したインタビューでジョンソン氏は、 「彼らには『スターリン(Joseph Stalin)の死』のようなシナリオに対処する計画があった」と述べた。ジョンソン氏が自身の感染について詳細を語ったのは初めて。

 保守党の党首でもあるジョンソン氏は3月27日、新型コロナウイルスの検査で陽性になったと発表した。軽症だとしていたが、1週間自主隔離しても回復しなかった。

 4月5日、ジョンソン氏は追加検査のため入院。だがそれから24時間もしないうちにICUに入り、3日間にわたり酸素吸入を受けた。4月12日に退院したジョンソン氏は、自身のウイルスとの闘いは「どちらの方向にも行く可能性もあった」と認めた。

 インタビューでジョンソン氏は、「自分はこの状態からどう抜け出すのだろう」と考えていたが、自身の死を意識したことは一度もなかったと述べた。

 ジョンソン氏は、治療に当たった国営の国民保健サービス(NHS)のスタッフに繰り返し敬意を表している。

 4月29日、パートナーであるキャリー・シモンズ(Carrie Symonds)さんとの間に男児が誕生し、ウィルフレッド・ローリー・ニコラス・ジョンソン(Wilfred Lawrie Nicholas Johnson)と名付けられた。

 シモンズさんは、「ウィルフレッドはボリスの祖父、ローリーは私の祖父、ニコラスは、先月ボリスの命を救ったニック・プライス(Nick Price)医師とニック・ハート(Nick Hart)医師にちなんだ」と明かした。両医師はいずれも、感染症と肺におけるガス交換の専門家だ。

 サン・オン・サンデー紙によると、ジョンソン氏は自身の治療と回復は「尋常なことではなかった」と述べ、当時を振り返って感情的になっていたという。また、同氏はこの体験を通して、新型コロナウイルスと闘い、国を正常に戻す決意をいっそう強くしたと語ったという。

 ジョンソン氏は、英国で3月下旬に始まった封鎖措置の緩和に向けた「ロードマップ」を今週中にも明らかにする方針だと説明している。(c)AFP/Phil HAZLEWOOD