【5月2日 AFP】男子テニス、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、偉大なライバルのロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)やラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)との争いに苦しむ中で、2010年に現役引退を検討していたことを明かした。

 ジョコビッチは2008年の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2008)で自身初の四大大会(グランドスラム)優勝を果たし、当時は世界ランク3位につけていたが、2010年の全仏オープン(French Open 2010)準々決勝でユルゲン・メルツァー(Jurgen Melzer、オーストリア)に2セットアップから逆転負けを喫し、絶望の淵に沈んだ。

 現在32歳のジョコビッチは、伊スカイ・スポーツ(Sky Sport Italia)とのインタビューで「この敗北は感情面で非常にきつかった」「負けた後は泣いた。いやな瞬間だったし、真っ暗闇を見てしまい、テニスをやめたかった」と話した。

「2008年にオーストラリアで勝って世界3位になっていたが、幸せではなかった」「自分の力はこの程度ではないと分かっていたが、フェデラーやナダルとの大きな試合では負けていた」

 だが、メルツァー戦での敗北がターニングポイントになったといい、「あの瞬間から解放された気がした」「プレッシャーがなくなって、もっと積極的にプレーするようになった。あそこが転換点だった」と振り返った。

 そして翌年のグランドスラムで3勝を挙げたジョコビッチは、現在はメジャー勝利数を17にまで積み上げ、フェデラーの最多記録まで3勝、ナダルまで2勝に迫っている。

 また、シーズンが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による影響で中断している中、ジョコビッチは競技再開が待ち遠しいとしながらも、「公式には7月13日に再開予定だが、その日に始まる可能性はほぼないというのが大方の見方だ」と指摘した。

 3月中旬に中断するまで、全豪オープンで史上最多8度目の優勝を果たすなど今季18勝無敗の成績を残していたジョコビッチは、「自分にとってはルーチンを持つのが重要。日付を待つことはできない。毎日ジムでトレーニングをしたり、家で走ったり、子どもたちと遊んだりしている」と近況を明かしている。(c)AFP