【5月1日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療において、抗ウイルス薬「レムデシビル」に患者の回復を早める効果があることが、米国で実施された大規模な臨床試験で示された。レムデシビルは、同感染症に対する治療効果が証明された最初の薬となった。

 知っておくべき事柄を以下にまとめた。

■レムデシビルとは何か

 レムデシビルは米製薬企業ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)が製造する試験的な広域スペクトル抗ウイルス薬で、もともとはエボラ出血熱の治療薬として開発された。

 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は2月、新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」に対するレムデシビルの有用性を調査すると発表した。レムデシビルは、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)などの他のコロナウイルスに対して有望であることが動物実験で示されていた。

■効果は

 NIAIDは先月29日、1000人以上が参加した臨床試験の結果を発表した。これによると、呼吸困難を訴える新型コロナ感染症患者の回復が、プラセボを投与された患者よりも早かったとされる。正確には、レムデシビルを投与された患者の回復が、そうでない患者より31%早かったのだ。

 同研究所のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は先月30日、NBCニュース(NBC News)の取材で、「試験結果は統計的に有意ではあった。ただ、目を見張るようなものではなかった」と語っている。

 つまり、レムデシビルは効果的ではあるが、奇跡をもたらすような治療薬ではないということだ。

 試験では、レムデシビルにより死亡率が11.7%から8.0%に下がる可能性が示された。だがこのデータの信頼性は、カットオフ値が最適ではなかったことから、統計学的には低いとされている。