【5月1日 AFP】米疾病対策センター(CDC)元所長のトム・フリーデン(Tom Frieden)氏によると、米国では新型コロナウイルスの患者数がピークに達しつつある可能性があるが、国民が元の生活に無事戻るためには、かつてない規模の公衆衛生の取り組みが必要になるという。

 2009年から2017年までCDCの所長を務め、現在は保健関連の非営利プロジェクト「リゾルブ・トゥ・セイブ・ライブス(Resolve to Save Lives)」を主導するフリーデン氏は先月、AFPの取材に応じ、今後の道筋について話した。

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Q: 今年の夏、米国民にとって状況はどのように進展するか。

A: ここでカギとなるのは、封じ込めだ。つまり、ウイルスを封じ込める囲いの四隅をすべて強化することだ。四隅とは、検査実施能力、感染者全員の安全な隔離、精力的で広範な接触者追跡、接触者の安全で魅力的な隔離所だ。

 この4点を実行できれば、ウイルスの封じ込めが可能になる。

 この4点がどのくらい効果的に実施されているかに関する情報ではなく、いつまで実施するかという日程の方に焦点が間違って当てられている。

 皆が自宅に身を潜めて暮らしているこの期間を、外に出られるように、そしてそれを継続できるようにするための準備に利用する必要がある。

Q: 米ハーバード大学(Harvard University)が発表した研究では、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を2022年まで断続的に実施すれば、「休止」期間中に国民が集団免疫を蓄積できると考えられることが示唆されている。この説を支持するか。

A: 人々が感染するのを意図的に許容するという考え方は、まさしく見当違いだ。なぜなら、人々は他人と接触するからだ。

 感染してもあまり症状が出ない場合は、自分の祖母や食料品店のレジ係の人たちを気付かずにウイルスに感染させてしまう可能性がある。

 ここでカギとなるのは、できるだけ早くしかも安全に活動を再開できるように、徐々に蛇口を緩める組織的で合理的な方法を考案することだ。

 それはつまり、高齢者や医学的に脆弱(ぜいじゃく)な人々は、より長い期間にわたり屋内にとどまる必要があるということだ。

Q: 誰が免疫を持っているかの判断材料となる可能性のある抗体検査が重要視されているが、すでに利用可能なものの多くは「がらくた」だと指摘されている。では、どうして米食品医薬品局(FDA)がそれらを認可したのか。

A: FDAは、検査結果を正しく評価する適切なポイントをまだ把握できていない。

 血清(抗体)検査は、正しく行うのが簡単ではなく、極めて厳密に行う必要がある。また基本的には、抗体が免疫に関連するかどうかや、関連する場合はどのくらいの期間に及ぶかなどは分からない。