【5月4日 AFP】世界各国の政府や団体が新型コロナウイルス感染拡大対策のロックダウン(都市封鎖)や移動規制の緩和を目的とした証明書「免疫パスポート」の使用を検討し、激しい論争を呼んでいる。免疫パスポートは、致死性の新型ウイルスへの抗体があるため拡散リスクは低いとする身分証明書のようなもので、所持者の活動再開や職場の復帰につながり得る一方、世界保健機関(WHO)や専門家らは抗体検査の精度をめぐる懸念を指摘し、個人情報保護の問題や、パスポートの悪用の可能性についても警鐘を鳴らしている。

 アイデアの支持者らは、スマートフォンに表示される飛行機の搭乗券のように、デジタルまたは紙の証明書を受け取ることも可能だと主張する。

 英国を拠点とする新興企業Bizagiは、従業員を識別する「コロナパス(CoronaPass)」という証明書を企業向けに開発。フランスのIT新興企業Sociosは、スポーツイベント用の免疫パスを開発中で、「感染リスクが低いか全くないファンだけがまずは試合を観戦できるようにする」と宣伝している。

 チリは先月、新型肺炎から回復した人々に証明書の発行を開始。ドイツやその他の国でも同様の試みが進行中だ。

 WHOは先日、「感染リスクのない証明書」を発行できるだけの「十分な証拠はない」と警鐘を鳴らし、数時間後に、ややトーンダウンした見解を発表。感染者は「抗体反応を持つようになり、これが一定の防御につながることはあるだろう」とした上で、「ただし、その防御の程度や、その効果がいつまで続くかはまだ分かっていない」と指摘した。

 米ジョージタウン大学(Georgetown University)グローバル公衆衛生および安全保障センター(Center for Global Health Science and Security)で公衆衛生を専門としているクレア・スタンドリー(Claire Standley)教授は、こうした証明書に懐疑的な考えを示し、その理由の一部は「抗体があることで再感染がどの程度妨げられるのか、はっきりしたことが分かっていない」ことにあると述べた。