輸入車、国産車を問わず、1980、90年代のいわゆるネオ・クラシックな スポーツ・モデルばかり取り扱うショップに、驚きの出物があるという噂を聞きつけた探検隊一行。はたしてそこで出会ったのは、まさにお宝というべき1台だった。  

CHEVROLET CORVETTE (C4)
東京・板橋区の環状7号線沿いにあるレーヴ・インターナショナルの車両展示スペースに置かれていた第4世代のシボレー・コルベット。1983年から1996年まで生産された、いわゆるC4と呼ばれる世代のスタンダードな仕様だ。取材車両はルーフの脱着が可能なタルガ・トップだが、このほかにクーペやコンバーチブルも設定されていた。オーバー・フェンダーは当時の輸入元、ヤナセによって装着されていたもの。
■シボレー・コルベット 1996年型 ブライト・アクア・メタリック/ホワイト・レザー 左ハンドル 6段MT 走行3724㎞ 修復歴なし ディーラー車 保証書、取り扱い説明書、記録簿完備 ETC 社外4本出しマフラー(純正品あり) 328万円

極低走行のアメリカン・スポーツ発見!!

ウエダ いやぁ、世の中えらいこっちゃになってますが、こういう時こそ元気に過ごしたいものです。

アライ なんか、首都高の渋滞表示が赤くなってるのとかみると、かえってホッとするよね。ちゃんと経済活動してるじゃんって。

ワタナベ うちなんかは仕事の半分は机で地蔵化してるようなもんだし、家にいるのに慣れっこになってるけど、会社勤めの友達とかに話聞くと、やりづらいんだってねぇ。

ウエダ 四六時中、奥さんと一緒なんてそうそうないでしょうからねぇ。

アライ しかも子供も学校行ってないですから、もうカオスですよ。

ワタナベ そう考えるとさ、社内不倫とかってどうしてるんだろう、今。

アライ それこそテレワークとか?

ウエダ やれやれ、元気が出る話って結局そっち方面ですかね。

ワタナベ あとはまぁ、ポルシェとかのサイトにあるコンフィギュレーターいじくって妄想見積もりというかエア商談というか……。

アライ 中古車の検索も物件が回らないことには精も出ませんし。

ワタナベ 一応、オークションは動いてるみたいだけどね。

ウエダ そこで今回は見るだけで楽しくなる、元気が出るようなクルマを求めて、ここ東京・板橋にやってきました。

隣の赤い第3世代カマロZ28も1998年型の1オーナー、フルオリジナル、走行わずか7000㎞というお宝物件。価格は298万円。

ワタナベ おおっ、このサードのカマロはやけに綺麗だねぇ。しかも完全ノーマルっていうのも珍しい。こんな物件そうはないから、Bow.さんに電話をした方がいいかも。

アライ 確かこの型ばっかり3台くらい乗り継いでるんですよね。

ワタナベ そう。荷室が画材のサイズにピッタリなんだよとか、いかにもイラストレーター的な理由を挙げてたけど、全然関係ないだろうね。多分ひたすら好きなだけでしょう。

ウエダ まぁまぁ。確かにこのカマロもワンオーナー7000㎞と衝撃的な物件なんですが、今日の本丸も凄いんですよ。

ワタナベ おっ、コルベットだね。C4の後期。ミラーがUS仕様なのと、エグゾーストが変わってるみたいだけど、オーバー・フェンダーがついてるってことはヤナセものだ。

ウエダ こちらのレーヴ・インターナショナルさんは、80~90年代に人気があったスポーツ系モデルを中心とした品揃えで、程度のいい個体がたくさんあります。なんとこのC4、走行3724㎞の実質2オーナーという希少な物件なんですよ。

完全にオリジナルの状態を保っている美しいインテリア。傷つきやすいホワイト・レザーのシートや、樹脂パネルの状態もいい。天井の内張の剥がれなどもない。シートは電動調整式で、ランバー・サポートも備わる。

アライ 96年型で3724㎞って……年間平均約155㎞、月平均でおよそ13㎞ってことですよ。御料車も真っ青の稼働率ですね。

ワタナベ まぁうちにも似たようなRX-7があるから人のこと言えないけど、これ、96年型っていうことは、もうC5にスイッチする直前、最後も最後のC4なんだね。この年式だと本国ではグランスポーツが販売されていたから、そもそも標準グレードは数が少ないんじゃないかな。

アライ そういえばナベさんこないだ新しいコルベット乗ってきたんですよね。ミドシップになったやつ。

ワタナベ うん、C8。コルベットがミドシップの道を選んだ理由はすごくわかりやすいんだよ。今の馬力競争にFRで応えることはトラクション的に相当難しいことになっているし、それはレーシングカーの領域でも然りなんだよね。GTEカテゴリーの911RSRもミドシップになってるのがその証左というか。

大きく開くリアのガラス・ハッチ。ネジ止めされているタルガ・トップは、外すとここに収納が可能となっている。当時の純正オプションだったBOSE製オーディオ・システムも装備していた。
V8・OHVユニットは登場当時は200ps強と出力は控えめだったが、最終的に335psにまでパワー・アップ。1989年には当時GMの傘下だったロータスが手がけたアルミ・ブロックのDOHCユニットを搭載し、375psを発揮するZR-1も登場している。写真左端に見えているのはリトラクタブル式ヘッドライトで、一般的なポップアップするタイプとは異なり、格納時は逆さで、回転しながら現れる。

ウエダ でも、速い遅いとかは別にして、コルベットはロングノーズFRって人も多いと思うんですよね。

ワタナベ そりゃあそうだよね。C8乗せてもらったけど、マジですごいクルマだった。よくぞ初出のミドシップをここまで綺麗にまとめたもんだと、GMの底力に感心した……んだけど、C7以前のコルベットに未練がないといえば嘘になるよなぁ。

アライ 思い切ってこのC4まで遡ってみるとか。

ワタナベ いや、あながちなくもないよね。そもそもコルベットはイタリア系のデザイン・トレンドに影響を受けてきたところがあるし、とりわけC4は当時のGMのデザインディレクターがピニンファリーナ・デザインのフェラーリが好きだったりもして、FRでありながら当時のそれ系の影響も感じられる。

ウエダ この時代のコルベットは、メカニズム的にはC3からの流れもありながらすごくモダナイズされた側面もありますよね。

ワタナベ ハイテックとかって言葉が流行った時代だもんねぇ。デジタルといえば世の中的にはCDが登場した頃で、クルマ的にはメーターの表示にそんなものが使われてるだけで嬉しかった時代だから、C4も前期には頑張ったデジタル表示メーターがついてたんだよね。

液晶で表示されるのは速度計と燃料計だが、注目はその下の走行距離。わずか3724㎞!
給油口は車体中央に配置。そのすぐ前のリ ア・ウインドウには当時の輸入元、YANASEのステッカーが。
回りながら現れるヘッドライト。
ルーフは先代のC3では左右二分割式で外しても中央にバーが残るタイプだったが、C4では一体式に変更。
クロス・フラッグのエンブレムが付く蓋を持ち上げると鍵付きのフューエル・キャップが現れる。

アライ C4って、あまりモータースポーツのイメージがないですけど。

ワタナベ 言われてみればそうかもしれない。恐らく代々のコルベットの中では一番サーキットには疎いモデルだったのかも。逆にいえばこの後のC5でパッケージをトランスアクスルにして、WECのGTカテゴリーで勝ちまくれるモデルになったことで、スポーツカー銘柄として世界的に再認識されたんだよね。ル・マンで勝ち続けたことで、欧州に年間1万台の市場ができたりして。

ウエダ なるほど。C4がそうならなかったのは、マーケットがグローバルであるという考え方に至らなかったということですか。

サイド・ミラーは当時の日本仕様からUS仕様に交換済。4本出しのマフラーは社外品だが、純正品も保管されている。

ワタナベ いい時はアメリカ国内だけで、年間3万台くらいの勢いで売れるクルマだからねぇ。無理に世界に市場を求めなくていいという側面もあるといえばある。でも、アメリカ臭いコルベットが好きだとしたら、C4やC5辺りというのはちょっとした分水嶺的選択肢になるのかもね。

アライ 個人的にはこの天地に薄くてスッとした佇まいとか、ちょっと浮世離れしてていいなぁと思います。

ワタナベ このデザインの原点は84年にあるから、今の時代の定規をあてればもう存分に述懐的なものなんだよね。僕ももしこのクルマを買うとしたら、走り目当てではなくて当時のカルチャーに浸りたいから財布を開くって感じなんだと思う。

ウエダ そういうスポーツカーとの付き合い方もありますよね。なにも全開にする必要など全然ない。気持ちが繋がってることが嬉しいと。

ワタナベ そういう様々な気持ちを広範に受け止めてくれるのが、コルベットの魅力だと思うんだよね。

レーヴ・インターナショナルの牧下真太郎店長に取材中の渡辺隊長。

■レーヴ・インターナショナル
住所:東京都板橋区東山町47-1アトリュームモリ
Tel.03-3974-8777

話す人=渡辺敏史(まとめも)+新井一樹+上田純一郎(ともにENGINE編集部) 写真=阿部昌也

(ENGINE2020年6月号)