【4月30日 AFP】経済危機が悪化しているレバノンで29日、新型コロナウイルス対策で外出が制限されているにもかかわらず、3日連続となるデモ隊と軍の衝突があった。銀行に放火したり現金自動預払機(ATM)を破壊したりするデモ参加者も見られ、これまでに男性1人が死亡、デモ隊と兵士ら数十人が負傷した。

 非難の的となっているレバノン中央銀行のリアド・サラメ(Riad Salameh)総裁は29日、経済危機に対する改革が不十分だとして政府を批判したが、その数時間後に再びデモ隊と軍の衝突が発生した。

 1975〜90年の内戦以降で最悪の経済危機に見舞われているレバノンは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため導入された封鎖措置でさらに状況が悪化している。

 通貨の急落と物価の高騰によりデモは激化。北部トリポリ(Tripoli)で27日夜に発生した衝突では、兵士が発射した弾丸に当たって男性1人が死亡した。

 地元メディアによると、南部の港湾都市サイダ(シドン、Sidon)では、デモ隊が市内にあるレバノン中央銀行の支店に火炎瓶や爆竹を投げつけた。

 サラメ総裁は29日、高まる怒りの声に応え異例のテレビ演説を行い、政治的理由で実現していなかった改革を実行すると政府が約束したため国が必要としている資金の一部を提供したと述べ、中央銀行を擁護した。レバノンでは近年、政府や大統領、議会が十分に機能できない状態が続いている。(c)AFP/Rouba El Husseini