■「住む権利はない」

 事態の重大性を把握していたのは母親だけだったと、ベーメさんは言う。「母は父に繰り返し、自分たちはかつて強制収容所であったここに住む権利はないと言っていた」

 だがベーメさん家族は約3年間、この元強制収容所で暮らした。「去る時はとてもうれしかった」とベーメさん。しかしダッハウの町にはその後何年も住み続けたという。

「人が訪ねてくるたびに、強制収容所を見せに行ったものだった。避けられないものだから。何が起きたのか、この国がどんなにひどいことをできたのか知ってもらいたかった」

 ベーメさんはとりわけ、最近ドイツにやってきた難民の記事を読むと、子どもの頃を思い出すという。「混み合った状態で暮らさざるを得ない時には、常にいざこざが起こる」「ダッハウでそれが起こり、今は難民収容所でそれが起こっている」 (c)AFP/Pauline CURTET