【4月30日 AFP】1918~20年のスペイン風邪流行中に生まれ、このほど新型コロナウイルスに感染して入院中に100歳の誕生日を迎えたベルギー人女性が29日、回復を果たして病院職員らに祝福されつつ退院した。

 ジュリア・ドウィルド(Julia Dewilde)さんは、東部リエージュ(Liege)郊外にあるボワ・ド・ラベイ(Bois de l'Abbaye)病院で先週末、100歳の誕生日を迎えた。その4日後、検査で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの回復が確認され、老人ホームへの「帰宅」が認められた。

 ようやく愛する家族と触れ合うことが可能となったドウィルドさん。車いすで病院を後にする際、医療スタッフの歓声と取材カメラのシャッター音に包まれながら「ええ、明日訪ねて来てくれるんです」と喜びの声を上げた。

 ドウィルドさんの退院は、苦境にある介護士たちに朗報となっただけでなく、新型ウイルスの大流行と苦闘する看護師や医師にも勝利の喜びをもたらしたようだ。

「私たちにとって最高の成功例の一つです。うれしい」と、ドウィルドさんの担当看護師ラウラ・ベルトラン(Laura Bertrand)さんは語った。

 ドウィルドさんは4月半ばにCOVID-19の診断を受け、入院した。他の多くの高齢者と同様、呼吸困難の症状があった。細菌感染症も併発して抗生物質の投与が必要となり、脱水症状も確認された。呼吸障害を緩和するため酸素吸入も受けたが、気管挿管まではいかず、集中治療室(ICU)に入ることは最後までなかった。

 そして、19日間の入院中に少しずつ症状は快方に向かい、100歳の誕生日を迎えた後の検査で、ついに回復が確認された。

 人口約1150万人のベルギーでは、これまでに新型コロナで7500人が死亡し、その多くが75歳以上の高齢者だ。死亡率は世界最悪の高さとなっている。だが、ベルギーは近隣諸国よりこまめに死者数を公表し、老人ホームでの死者も最新の公式統計に含めている。それによると、死者の半数近くが老人ホームで亡くなっている。(c)AFP/Kilian FICHOU, Kenzo TRIBOUILLARD