【4月30日 AFP】新型コロナウイルス対策としてロックダウン(都市封鎖)を実施しているニューヨークで、利用客が激減した地下鉄の車内で眠るホームレスが急増している。ニューヨーク州知事とニューヨーク市長は29日、対策を講じると約束した。

 今週、ニューヨークの地下鉄に身を寄せるホームレスたちを捉えた写真や動画がソーシャルメディアで拡散し、反発を招いていた。

 アンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)知事は、「車両は不潔で、不快極まりない。ホームレスの人々は所持品全てを車内に持ち込んでいる」と指摘し、地下鉄の環境が「悪化」していると嘆いた。

 その上で、ニューヨークの地下鉄を運営する都市圏交通公社(MTA)に対し、全車両を毎日清掃する計画を立てるよう要請した。

 ニューヨークでは3月半ばに始まったロックダウンの影響で、地下鉄の利用客が90%減少。このため車内や駅構内にホームレスが身を寄せる余地が生じた。

 タブロイド紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)は28日、車掌が撮影した車内の動画を公開。1編成の多くの車両で、複数の人が座席で眠り、そばには箱や袋、かばんなどが積み上げられていた。

 MTAの局長代行は、27日にニューヨーク・ポスト紙に掲載されたコラムの中で、地下鉄をホームレスの宿泊施設にさせないでほしいとビル・デブラシオ(Bill de Blasio)ニューヨーク市長に求めた。

 デブラシオ氏は今週、車両を清掃し、警察がホームレスを駅から退去させる時間を確保するため、午前0時から5時まで終着駅10か所を閉鎖する案を明らかにした。

 支援活動家らが緊急一時宿泊施設に移る手助けをすることも可能になるが、市内のそうした施設はすでに過密状態で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団発生が起きる恐れがある。

 窮状に同情的なソーシャルメディアユーザーらは、ホームレスが地下鉄に身を寄せざるを得なくなったのは、ロックダウンでカフェが休業し、選択の余地がなくなったからだと指摘している。(c)AFP