動画:江口沈銀遺跡で「蜀世子宝」金印が出土 四川省眉山市
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【4月30日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)眉山市(Meishan)彭山区(Pengshan)は29日、記者会見を開き、同区の江口沈銀遺跡で2019~20年度に実施した考古発掘調査で、金銀器を中心とする1万点余りの遺物が出土したと発表した。うち「蜀世子宝」と記された金印は、国内で初めて見つかった世子の金印だという。世子は明清時代の世襲親王の嫡男を指す。
遺跡は省都の成都市(Chengdu)から約60キロ、岷江と府河が合流する地点にある。民間の歴史書には、明末期の農民反乱軍の首領、張献忠(Zhang Xianzhong)が1646年、船に財宝を積み岷江を南下した際に彭山で明朝の将軍、楊展(Yang Zhan)の待ち伏せに遭い敗れ、船も沈んだと記されている。地元では数百年にわたり千隻分の金銀財宝が川底に沈んでいると伝えられてきた。四川省文物考古研究院は2016年から同遺跡の考古発掘調査を実施し、伝説が事実であることを証明した。
発掘調査を指揮した劉志岩(Liu Zhiyan)氏によると、今年は1月10日に発掘を開始し、約3カ月で5千平方メートルを発掘したほか、1万平方メートルで調査を実施した。
1万点余りの出土品のうち重要な遺物は約2千点。金・銀製の貨幣や地金、食器、首飾り、装飾品などが含まれ、中でも方形の印台に亀の形の印紐(いんちゅう)が付き、印面に「蜀世子宝」と記された金印が最も重要な発見とされた。印台の大きさは10センチ四方で厚さは3ミリ、金の含有率は95%と非常に高かった。「蜀」は明代に成都に置かれた蜀王府、「世子」は親王の嫡男を示すことから、金印が蜀王の世子の所有物として、その身分を象徴し、歴代受け継がれてきた貴重な宝であったことが分かる。
今年度の調査では、張献忠が国号を「大西」とした地方政権が所有した銀地金も多数発見された。同政権の財政制度や統治区域を研究する上で重要な意義を持つという。また、昨年度の発掘で明代の火器「火銃」が発見され、今年度に大きさの異なる鉛の弾が出土したことは、同地が古戦場だとする新たな証拠となった。
劉氏は、多くの金・銀製の容器や装飾品の発見が、明代の工芸技術水準や服飾制度、美的観念の研究に貴重な新材料をもたらしたとの認識を示した。また、今年度の調査で水中の遺物の分布や埋蔵状況を確認できたことは、財宝がどの船に積まれ、どの箱に入っていたかなどの歴史の細部を復元する貴重な資料になると述べた。
劉氏は「今年度は多くの貴重な遺物を緊急発掘し保護した。中でも『蜀世子宝』は考古学上の重要発見だといえる。遺跡に対する認識、特に遺物分布の規則性について重要な進展が得られた。今後の(遺跡の)保護と活用にも重要な意義を持つ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News