■唾吐きは禁止

 韓国の野球ファンは熱く、ブリガムが「第1球から最後の1球まで」と言うように、点差に関係なく絶えず応援歌を歌い、声援を送る。無観客ではそれがなくなるため、ブリガムも「毎試合ファンがいないのはすごく悲しい」と残念がる。

 それでも、他国に先駆けて野球シーズンが開幕している台湾では、ファンの姿を模した等身大パネルで客席を埋めるという策を講じ、さらに夜中に起きて中継を視聴する米国の野球ファンも増えているという。

 KBOでは無観客以外にも制約があり、選手は試合前に2回の検温を求められ、審判団はマスクを着けなくてはならない。選手はグラウンドでも、ベンチでもマスクの着用は義務ではないが、唾を吐くのは禁止になった。

 これに納得がいかないのが、ヒーローズのテイラー・モッター(Taylor Motter)内野手だ。モッターは「グラウンドで唾を吐くなっていうのは、食べ物をかまずにのみ込めっていうのと同じだ」と話している。

 モッターは2016年からの3年間でタンパベイ・レイズ(Tampa Bay Rays)、シアトル・マリナーズ(Seattle Mariners)、ミネソタ・ツインズ(Minnesota Twins)のMLB3球団に所属したが、通算10本塁打、平均打率1割9分1厘でレギュラー獲得には至らず、その後は出場機会を求めてベネズエラやメキシコ、ドミニカ共和国を渡り歩き、韓国へ行き着いた。

「MLBでの自分は、どう見てもスターだったとは言えないし、さえない選手だった」「交代で出る代打要員だった。ここへ来たのは、なれるかもと思っていたスターに返り咲くためだ」 (c)AFP/Kang Jin-kyu