【4月29日 AFP】米大リーグ(MLB)でスターになる夢を何年も前に諦め、現在は韓国でプレーする米国の野球選手たちに今、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって、スポットライトを浴びる機会が訪れている。

 韓国プロ野球(KBO)では20人以上の米国出身選手が登録されているが、皆MLBではさほど結果を残せなかったか、一度もメジャーに昇格できなかった選手ばかり。しかし、新型ウイルスによって世界のスポーツがほぼすべて停止する中で、韓国リーグが来月5日の開幕を迎えれば、彼らは競技レベルでプレーする世界でも珍しいプロスポーツ選手となる。

 韓国は一時、発生源の中国に次いで感染が深刻だった時期もあったが、「追跡、検査、治療」を徹底したことで、おおむねウイルスの封じ込めに成功したようにみえる。そのため米国の宣教師が紹介し、今や有数の人気スポーツとなったプロ野球は、5月5日から無観客でシーズンをスタートさせることを決めた。

 そして、世界中のファンがスポーツの生中継に飢えている状況で、米スポーツ専門チャンネルESPNは、リーグと放映権に関する交渉を行っている。

 キウム・ヒーローズ(Kiwoom Heroes)に所属するジェイク・ブリガム(Jake Brigham)投手のような選手にとっては、母国でスポットライトを浴びるチャンスだ。ブリガムは「自分はもう32歳」「現役の時間がもうそんなに長くないのは確実だから、露出が増えるのはうれしいよ」と話している。

 約10年のマイナー生活を経て、2015年にアトランタ・ブレーブス(Atlanta Braves)でようやくメジャー初昇格を果たしたブリガムだが、わずか16.2回を投げて防御率8.64と結果を残せなかった。しかし、日本プロ野球(NPB)などを経由してたどり着いたヒーローズでは、先発として3年間で34勝を挙げて助っ人の一番手となり、2020年シーズンは年俸100万ドル(約1億650万円)ほどの契約を勝ち取った。

 本人も、メジャーに「何年も残る」チャンスはなかったが、韓国で「最高」のチャンスをつかめたと話している。そして、米国で感染者が100万人を超え、MLBの開催自体が危ぶまれる中で、かつてのチームメートたちは自分を「うらやんでいる」はずだと続けた。

「向こうでは、野球のない一年なんて想像もつかなかったが、現実には今、そういう状況になっている」