【4月29日 AFP】米ブロードウェー(Broadway)の劇場やテレビで活躍している俳優のニック・コーデロ(Nick Cordero)さん(41)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療のため、病院の集中治療室(ICU)で3週間近く過ごした後、医師団の判断で右脚の切断を余儀なくされた──血栓ができ、血流が滞るようになったためだ。新型ウイルスによるものとみられるこの危険な合併症について、中国、欧米諸国の医療現場の第一線にいる専門家からの報告例が増加している。

 集中治療室にいる患者は、いわゆる「血栓症」をさまざまな理由で発症するが、新型ウイルスの感染者では、その発症率は著しく高い。

 米ニューヨーク大学ランゴーン医療センター(NYU Langone)の救命救急医、シャリ・ブロズナハン(Shari Brosnahan)氏はAFPの取材に対し、「私がいるICUで治療を受けている40代の患者らは指先に血栓ができており、このままでは指を失うことになると思われる。理由は新型ウイルス以外に考えられない」と述べる。

 血栓が及ぼす悪影響は手足だけにとどまらない。場合によっては血栓が肺に到達して肺塞栓症を起こしたり、心臓、脳に至った場合には、心臓発作や脳卒中を引き起こしたりする恐れもある。こうしたケースでは、患者の死亡リスクも生じる。

 ニューヨーク・プレスビテリアン病院(New York Presbyterian Hospital)の医師、ベーヌード・ビクデリ(Behnood Bikdeli)氏は、この問題を研究するために各国の専門家を集め、調査結果を米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」で発表した。

 ビクデリ氏は、血栓によるリスクが非常に高いことが分かったため、新型肺炎患者に関しては画像検査で確認するよりも前に「予防的に抗凝血剤を処方しておく必要があるかもしれない」と指摘している。

 具体的には何が原因なのだろうか。理由は完全に理解できていないが、ビクデリ氏は考えられる理由をいくつか挙げている。