【4月28日 AFP】世界中で紛争や災害によって国内避難を余儀なくされた人は昨年1年間で新たに3300万人超増え、国内避難民の総数は過去最多の計5080万人となった。28日、国内避難民監視センター(IDMC)とノルウェー難民評議会(NRC)による報告が明らかにされた。

 新型コロナウイルスが世界的に大流行する中、国内避難民はいっそう大きな危険にさらされていると報告書は警告している。

 昨年の国内避難民の数は、国境を越えて避難した難民の約2600万人よりもはるかに多い。

 IDMCのアレクサンドラ・ビーレク(Alexandra Bilak)代表は、「国内避難民は多くの場合、医療をほとんど、あるいはまったく利用することができない過密キャンプや緊急避難所、仮設住宅などに暮らす非常に脆弱(ぜいじゃく)な人々だ」と指摘。

 その上で「新型コロナウイルスの世界的な大流行により、国内避難民はいっそう脆弱な立場に置かれるだろう」と述べ、感染拡大により「必要不可欠なサービスや人道支援を受ける機会がさらに制限され、すでに不安定な生活環境がさらに損なわれる」と警告した。

 報告によると、昨年発生した国内避難民のうち850万人は、シリアやコンゴ民主共和国、エチオピア、南スーダンなどで起きた紛争から逃れた人々だった。

 また自然災害による国内避難民は、昨年1年間で2500万人近くに上った。ただしビーレク氏によると、自然災害による国内避難民の多くは実際には、「市民の命を守り保護するために政府が主導した予防措置的な避難」によるものであり、そうした避難民の大半は「自宅が全壊していない限りは」比較的早く帰宅することができるという。(c)AFP