【4月28日 AFP】米国各州は新型コロナウイルスの流行抑止策として実施しているロックダウン（都市封鎖）を5月1日から緩和する方向で検討しているが、大半の州では新型ウイルス検査を十分にできる態勢が整っていないと、ハーバード大学（Harvard University）の研究チームと米医療関連ニュースサイトのSTATが指摘した。

「検査についてはしっかりできている」とするドナルド・トランプ（Donald Trump）大統領の見解と真っ向から対立するものだ。

　ハーバード大の分析によると、実際にウイルス検査が行える態勢にあるのは、新型ウイルスの流行を比較的免れているアラスカとモンタナを含む19州にとどまっているという。一方、残る31州とコロンビア特別区（District of Columbia、首都ワシントン）の準備は大きく遅れている。

　中でも最も大きな被害が出ているニューヨークは、1日当たり13万～15万5000件の検査を行う必要があるのに対し、4月中旬の検査数は1日当たり2万件だった。

　また、先週末に不要不急の事業の一部再開が始まったジョージア州では、1日当たり約5000件の検査が不足している。

　ハーバード大の研究チームは、現実的な目標に基づいた提案として、安全にロックダウンを解除するには全米で1日に少なくとも50万件の検査ができる態勢が必要だと述べている。

　同チームは米疾病対策センター（CDC）が参照しているロスアラモス国立研究所（Los Alamos National Laboratory）のモデルを指標としている。

　一方、ハーバード大学グローバルヘルス研究所（Harvard Global Health Institute）のアシシュ・ジャ（Ashish Jha）所長は、悪い知らせばかりではなく、検査数は着実に増えていると述べている。

　米国における新型コロナウイルス感染症（COVID-19）流行に関するデータの収集・発表を行っているボランティア組織「コービッド追跡プロジェクト（Covid Tracking Project）」によると、全米の検査数は25日が30万件、26日が25万6000件だった。(c)AFP