■後継者争いは?

 金正恩氏には3人の子どもがいるとされるが、第二子が娘としか知られていない。いずれにせよ3人の子どもは、後継者となるにはまだ幼すぎる。

 正恩氏の妹で最も親しい助言者でもある金与正(キム・ヨジョン、Kim Yo-Jong)氏は、朝鮮労働党の第1副部長で、金一族の中で現在最も存在感があるが、封建的な北朝鮮社会で女性指導者は例がない。

 異母兄の金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏は、2017年にマレーシアのクアラルンプール国際空港(Kuala Lumpur International Airport)で神経剤を顔に塗られて暗殺された。この事件については、大半のアナリストが北朝鮮による殺害だとみている。

 一方、実兄の金正哲(キム・ジョンチョル、Kim Jong-Chul)氏は、英ミュージシャンのエリック・クラプトン(Eric Clapton)氏のファンだということが知られているだけで、政治的野心はないとされている。

 正恩氏の妻の李雪主(リ・ソルジュ、Ri Sol-ju)氏は、これまでの最高指導者夫人よりも公の場で存在感を放っており、2018年にはファーストレディーに相当する「女史」の肩書が付与された。

 故金正日総書記の異母弟で、正恩氏の叔父に当たる金平一(Kim Pyong Il)氏は長年にわたって東欧諸国で北朝鮮大使を務めていたが、昨年駐在先のチェコから呼び戻されて以降、現在に至るまで消息が聞こえていない。

■金一族以外の後継者の可能性は?

 正恩氏が後継者を指名したとは伝えられていないが、ナンバー2として公認されているのは、朝鮮労働党の意思決定機関である政治局の委員で、最高人民会議(国会に相当)常任委員長も務める崔竜海(チェ・リョンヘ、Choe Ryong Hae)氏だ。

 同氏の権力は強大な上、婚姻によって金一族の親族となっている可能性もある。正恩氏の妹の与正氏が結婚しているかどうかの確認は取れていないが、韓国メディアは過去に匿名筋の情報として、与正氏の夫が崔竜海氏だと報じたことがある。(c)AFP