【4月29日 Xinhua News】中国北京科学技術出版社の子ども向け絵本「打怪獣的10個方法」(日本語版:「かいぶつたいじの10の方法」)が4月上旬にインターネット上で公開されて以来、多くの読者の注目を集めている。

 新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、国際児童図書評議会(IBBY)の張明舟(Zhang Mingzhou)会長が提唱した公益の多言語児童書サイト「生命の樹(LIFE TREE BOOKS)」に、中国だけでなく世界各地の読者が関心を寄せている。同サイトでは現在、感染症対策をテーマにした中国オリジナルの児童書11冊が、日本語やフランス語、イタリア語、ロシア語など十数種類の言語に翻訳され、世界中の子どもたちが無料で閲覧できるようになっている。

 張氏は今年2月末、「世界感染症対策児童書相互翻訳・共同読書プロジェクト」を立ち上げ、SNSアプリ微信(ウィーチャット、WeChat)の個人の公式アカウントで、既に中国国内で出版されている感染症対策に関する児童書の国際版権の提供を出版関係者に依頼するとともに、中国語と外国語に精通した翻訳者に同児童書を無償で翻訳してくれるよう呼びかけた。

 数日の間に、中国の50数社の出版社と作者、挿絵画家から著作権の提供があり、十数言語の翻訳者約300人が呼びかけに応じた。

 張氏は「そこからウェブサイトを立ち上げて公開するまで1カ月だった。翻訳者やレイアウトデザイナー、ネットワークエンジニア、法務担当者など、皆で一致協力した結果だ」と語った。

 また「この間、多くの海外の同業者から前向きな評価と熱烈な賛同を受けた」と明かし、「例えば2014年に国際アンデルセン賞を受賞したブラジルの挿絵画家、ホジェル・メロはウェブサイトのポスターとロゴをデザインしてくれた」と紹介した。

 この他にも、IBBYキプロス支部の会長で作家のエレナ・ペリクレオス氏が童話「私の王冠を盗んだのは誰」を書き下ろし、イランの作家、挿絵画家は感染対策をテーマにした絵本「ハンナ、私たちのヒーロー」を寄稿した。

 張氏によると、マレーシアやパキスタン、モンゴルなどの版元では、これらの児童書をマレー語やウルドゥー語、モンゴル語などにリレー翻訳する意向があるという。また、世界最大の図書館向け電子書籍コンテンツプロバイダーである米オーバードライブ社は、同プロジェクトの児童書を約70カ国、数万館の図書館の蔵書に加え、世界中の読者に無料公開している。(c)Xinhua News/AFPBB News