【4月27日 People’s Daily】4月9日、明るい日差しに包まれた中国湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の武漢大学人民病院。新型肺炎から回復した87歳の王欣(Wang Xin)さんが歌を口ずさみながら、病院を後にした。

「父が今日を迎えられたのは、ひとえに医師や看護師の皆さんのおかげです」。王さんの娘が涙を流しながら感謝した。

 復旦大学付属中山病院から派遣された支援チームの医師・劉凱(Liu Kai)さんは、王さんの治療に携わった一人。この1か月前に撮影された劉医師と王さんの「ツーショット写真」は多くの人に感動を与えた。CT検査のため王さんを搬送する途中、劉医師がふと立ち止まった。目の前には、ビルに降り立つような夕日。病棟にこもりっきりの王さんに、久しぶりに美しい景色を観賞してもらおうという劉医師の思いやりだった。

 全国からの医療支援チームと地元の医療従事者の奮闘により、湖北省では80歳以上の新型肺炎患者3600人以上が回復した。国家衛生健康委員会医管局の責任者は「高齢者の治療は難しく、多くのスタッフも必要だが、医療従事者たちは誠心誠意、すべての命を助けようとしてきた」と話す。

 4月12日の早朝、大連医科大学付属第二病院救急診療科副主任の随韶光(Sui Shaoguang)さんは、武漢市の女性・丁さんから通信アプリ微信(ウィーチャット、WeChat)でビデオメッセージを受けた。「こんにちは。私の母は普通に食事も睡眠も取れるようになりました。気持ちも非常に落ち着いています」。ビデオでは、98歳の母親・胡さんが親指を立て、健康をアピールしていた。

 2月13日夜、胡さんと55歳の娘・丁さんは武漢市の雷神山病院に転院してきた。2人とも新型肺炎にかかっていた。「胡さんは高血圧や心臓病などの基礎疾患があり、転院時は40度の高熱で重篤状態だった」。随医師は緊急診療科、心臓内科、呼吸器科などの医師と共同で治療方針を協議。さらに中国医学科学院の王辰(Wang Chen)院長も診療に招いた。医療チームのたゆまぬ努力により、胡さん母娘は3月1日に無事、退院した。「私たちの責務は、患者の命を救い、病気を治すこと。一人の患者も見放すことは決してしない」。随医師は力を込める。

 国家衛生健康委員会の医政医管局監察責任者の焦雅輝(Jiao Yahui)氏は「重症、危篤に陥った高齢患者の90%以上は基礎疾患があり、治療は困難を極めた」と説明する。

 基礎疾患のある高齢患者は専門病院に転院させて治療。全国から支援に集まったエキスパートと現地の専門家が強力なタッグを組んで治療に当たり、80歳以上の患者の治癒率は70%近くに達した。

 治療を進めると同時にそれまでの成功症例を総括して医療スタッフの間にフィードバックさせ、常に治療方法を最適化することで、一人一人の重症、危篤患者に合わせた治療を徹底した。

 80歳、90歳、100歳。武漢市では新型肺炎を克服した最高齢の患者の記録が次々と塗り替えられていった。4月11日までに、100歳以上の患者8人のうち既に7人が退院している。(c)People's Daily/AFPBB News