【4月26日 Xinhua News】多くの中国人が新型コロナウイルス感染症への防止対策として家の中で過ごすことを余儀なくされているが、読書に慰めを求め、書籍から情報を得ている人々もいる。

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 人気を博しているのは、感染症をテーマにした文学作品だ。北京に拠点を置く書籍に関する調査会社、北京開巻信息技術(オープン・ブック)によると、この3カ月間で疫病、ウイルス、疫学を扱った小説の売り上げが大幅に増加している。中でも最も急速に売り上げを伸ばしているのは、ノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア・マルケスの「コレラの時代の愛」や、フランスの作家アルベール・カミュの小説「ペスト」、米国の作家リチャード・プレストンの「ホットゾーン」の中国語版だ。

 北京開巻信息技術のコンサルティング部門アシスタントマネージャーの李競誼(Li Jingyi)氏によれば、「ペスト」と「ホット・ゾーン」の売り上げもこの2年で過去最高を記録。各出版社は、感染症を扱った文学への需要の高まりに迅速に対応し、国内最大級の翻訳出版社、上海訳文出版社は両書をそれぞれ5万部増刷している。

 2012年に出版された中国人作家、畢淑敏(Bi Shumin)の小説「花冠病毒」は今年に入ってからネット上で大いに話題になり、古本市場価格は数十元から数百元に急騰している。

 李氏は、以前ほとんど注目を集めなかった科学系の書籍も新型コロナの感染が広がり始めて以来、売り上げが急に伸びてきていると説明。「こうした本の売り上げが伸びている理由の一部は、全国的な感染対策が今も取られ、社会的に孤立した人々が読書に当てる時間が増えたため。新型コロナへの答えと心の慰めを得るために、感染症をテーマにした本に自然と目が行くからだろう」と分析した。

 教科書や児童書、伝記の売れ行きもこのところ伸びていると指摘した。

 北京開巻信息技術の調査によると、2020年の第1四半期(1~3月)における国内の全般的な書籍の取引量は新型コロナの影響を受けて前年同期比15.9%減少した。オンライン書店の売り上げは3%増加したのに対し、実店舗の売り上げは54.8%減少した。(c)Xinhua News/AFPBB News