■紫外線A波、SARSウイルスの活性には影響なし

 地球の大気を透過して地上に到達する紫外線は主にUVA。UVCは大気に吸収されて地上には届かない。UVCは動物細胞やウイルスの遺伝物質を傷つける程度が特に強いため、これが地上に届かないのはわれわれにとって朗報だ。

 新型コロナウイルスと遺伝子学的に近い重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスを調べた2004年の研究で、UVAは照射時間の長短にかかわらず、SARSのウイルスの活性にまったく影響を与えないことが示された。通常は実験室や病院の消毒に用いられ、今では中国のバスの消毒にも使われているUVCは、SARSのウイルスを15分以内に完全に不活性化させた。

 新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」が、SARSのウイルスよりUVCだけでなく普通の太陽光にも弱い可能性はある。問題は、国土安全保障省が、科学界の規範を無視してデータを公開していないことだ。

 ウイルス疫学者のクリス・ボンシファルバ(Chris von Csefalvay)氏は、「どのように実験が行われたのかを知るために、研究について理解することが非常に重要となるだろう。実際の研究論文、または最低でも査読前の原稿がすぐに共有されることを強く期待している」 「科学界は彼らの発見を検討したがっているのは確かだ」と述べた。(c)AFP/Issam AHMED