【4月24日 AFP】新型コロナウイルスの治療薬候補「レムデシビル」の最初の無作為臨床試験(治験)が失敗に終わったことが23日、明らかになった。世界保健機関(WHO)が誤って結果を公表したことで判明し、効果が注目されていたレムデシビルに対する期待は低下している。

 治験結果の要約の草稿がWHOのウェブサイトに公開され、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)と米医療関連ニュースサイトのSTATが最初に報じた。WHOはその後、草稿を削除したが、STATは草稿のスクリーンショットを掲載した。

 しかし、レムデシビルを開発した米製薬企業ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)は、データは「潜在的な有効性」を示しているとし、治験結果の解釈に異議を唱えた。

 この草稿によると、中国で実施されたこの治験は新型コロナウイルス患者237人を対象とし、うち158人にレムデシビルを投与し、残る79人の対照群と経過を比較した。投与した患者のうち18人は、副作用のため早期に投与を中止された。

 草稿の著者らはレムデシビルについて、対照群と比較して「症状が改善するまでの期間の差と関連付けられない」と指摘。治験開始から1か月後に、レムデシビルを投与された患者の13.9%が死亡したのに対し、対照群は12.8%が死亡した。この差は統計的に有意ではない。

 WHOはフィナンシャル・タイムズ紙に対し、草稿は査読中であり、誤って公表されたと説明した。

 ギリアドの広報はAFPに対し、公開された草稿には「治験に対する不適切な解釈が含まれる」と述べ、参加者が少なく早期に中止されたため、統計的に有意な結果は出ていないと説明した。その上で「治験の結果は確定的でないが、このデータの傾向から、特に早期に治療を受けた患者に対してレムデシビルの潜在的な有効性が示されている」と述べた。

 今回の治験は、有効性についての最終的な結論を示すものではない。現在、より進んだ段階の複数の大規模治験が複数行われており、より明確な実態がまもなく明らかになる見通し。(c)AFP/Luc OLINGA