【5月2日 AFP】モザンビーク北部を2年以上にわたり恐怖に陥れてきた謎のイスラム過激派組織が、突如として動画で戦闘員の素顔を見せ、天然ガスが豊富な同地域をカリフ制国家に変えるという目標を公然と宣言した。

  この過激派組織は最近、カボデルガド(Cabo Delgado)州の州政府庁舎を襲撃した他、銀行強盗や道路の閉鎖といった行為を続け、いくつもの町や村で組織の白黒の旗を掲げている。

 モシンボアダプライア(Mocimboa da Praia)の町で最近起きた襲撃後に撮影したと思われる動画には、カラシニコフ銃を所持した戦闘員らが恐怖におびえる住民らに対し、「全員、イスラム法に従ってもらう」と指図する様子が映っている。モシンボアダプライアは2017年10月に同過激派組織が最初の襲撃を行った町だ。

 つい最近まで、襲撃者らの身元はもちろん、その意図も不明だった。だが直近の動画では、顔を隠さずに登場する戦闘員らが集会に集められた住民らに対して、「異教徒の政府はいらない。われわれが望むのはアラー(神)による政府だ」と現地のキムワニ語で主張している。

 この過激派組織は2年以上にわたり、主に辺ぴな場所にある村々を標的にしてきた。フランスの緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」によると、彼らによって殺害された人数は700人を超えるという。地元カトリック大司教ルイス・フェルナンド師(Dom Luiz Fernando)は少なくとも20万人が家を追われたとしている。

 同組織は今年3月になって大胆さを増した。モシンボアダプライアに戻り、夜明け前の町を襲撃して州政府と軍の施設に乱入してからは、潜伏場所から姿を現し、カボデルガド州の3地区を公然と支配している。

 この組織は現地ではシェバブ(Al-Shabaab)として知られているが、ソマリアで活動している同名の過激派組織とのつながりはこれまでのところ分かっていない。

 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の系列にある「イスラム国中央アフリカ州(Islamic State Central Africa ProvinceISCAP)」は、昨年からの数件の攻撃で犯行声明を出し、モシンボアダプライアを攻撃したことも認めている。

「複数の動画や戦闘員の発言内容から、男たちはモシンボアダプライア出身で、2017年10月に最初に襲撃した組織のメンバーであることが分かる」と、北アイルランドのクイーンズ大学ベルファスト校(Queen's University Belfast)の上級講師でアフリカ史専門家のエリック・モリエジュヌー(Eric Morier-Genoud)氏は指摘している。