【4月23日 AFP】国連(UN)の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)は22日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)の影響で、世界の旅客数が今年9月までに12億人減少するとの見通しを明らかにした。

 ICAOによると、旅客数の落ち込みが最も激しいとみられるのは欧州で、特に例年ピークを迎える夏季休暇中の激減が予想される。次いで、アジア・太平洋地域の旅客減が大きいとしている。

 ICAOはまた、減便や欠航が相次いだ結果、今年1~9月の航空業界全体の収益は1600億~2530億ドル(約17兆~27兆円)の減額になるとの見方を示した。

■解雇、倒産…航空各社に影響広がる

 こうした中、米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)は新型コロナが引き起こした財政難を理由に、商用機部門で人員を10%削減する計画だ。事情に詳しい関係者2人が22日までにAFPに明らかにした。人員整理の対象部門は、2度にわたる墜落事故を起こして運航停止中だった737MAX型機と、787型機、777型機の生産ユニットで、最大7000人が影響を受けるとみられる。

 ボーイングは、新型コロナ危機で航空事業が打撃を受けているとして、米航空宇宙産業への600億ドル(約6兆5000億円)の公的支援を連邦政府に要請している。

 新型コロナの影響は世界の航空業界に広がっている。日本航空(JAL)は22日、2020年3月期の業績予想を下方修正し、純利益は930億円から43%減の530億円になると発表した。全日本空輸(ANA)も既に、2020年3月期の純利益を71%減に下方修正している。

 21日には、豪航空2位のヴァージン・オーストラリア(Virgin Australia)が経営破綻。ノルウェーの格安航空会社(LCC)ノルウェー・エアシャトル(Norwegian Air Shuttle)も今週、スウェーデンとデンマークの子会社4社が倒産したと発表している。(c)AFP