【4月23日 AFP】米政府で医薬品やワクチンの開発・調達などを担う生物医学先端研究開発局(BARDA)のトップ、リック・ブライト(Rick Bright)氏が解任されたことが分かった。同氏が22日、明らかにした。新型コロナウイルスの治療でドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が推している抗マラリア薬の使用に反対したためだとしている。

 ブライト氏は21日に解任され、米国立衛生研究所(NIH)の格下のポストに降格された。ブライト氏は米メディアに向けた声明で、今回の人事は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療で抗マラリア薬のクロロキンとヒドロキシクロロキンの使用を勧める「誤信に基づいた指示」に抵抗してきたことへの直接的な反応だと述べた。

 ブライト氏は、政権はこれらの治療薬を「特効薬だともてはやしているが、明らかに科学的な利点が欠けている」と指摘した。

 3月半ば以降、トランプ氏は保守的なFOXニュース(Fox News)の後押しを受けて、新型コロナウイルス感染症治療へのクロロキンの使用を提唱してきたが、その安全性や有効性を裏付ける研究は乏しい。

 トランプ氏の科学顧問らもさらなる研究が必要だという姿勢を示しているにもかかわらず、トランプ氏は新型コロナウイルスに立ち向かう「神からの贈り物」かもしれないとして、これらの薬剤の使用を推している。

 ブライト氏は、トランプ政権が生物医学先端研究開発局を政治的に扱い、政治家とつながりのある企業を優遇するよう科学者に圧力をかけていることについて、米厚生省の監察総監に調査を求めていくと述べた。(c)AFP